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2026.04.28 11:15

【全文】東大入学式 野田秀樹氏祝辞 | AIは万能の顔、だが「ダ・ヴィンチの喜び」を知らない

撮影:尾関祐治

撮影:尾関祐治

東京大学の入学式が4月13日、東京都千代田区の日本武道館で行われ、約3100人の新入生が出席した。

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当日の式典から、劇作家・演出家などとして知られ、自身も本学に在学していた野田秀樹氏の祝辞全文を紹介する。


東京大学への入学おめでとうございます。私は劇作家、演出家、そして舞台役者をやっています野田秀樹と申します。およそ半世紀前、50年くらい前ですね、本大学の文科一類に入学しながら、演劇の沼に嵌りこみ、六年かけて中退した人間です。そんな本校中退者にこの晴れがましい入学式でお祝いの言葉を述べさせるという大学側の大英断が意味するものは、入学したばかりの皆さんに中退してもいいんだぞ~と言うメッセージではありません。安心して下さい。恐らく私に、お祝いに面白い作り話の一つでもしてやってくれ、みたいなことなのかと思っています。

そこで優秀な頭脳を持つ皆さんの脳内の記憶のようなものについてお話しすることにいたします。ただ私は脳学者ではないので、話はめちゃくちゃです。

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今日ここにいる3000人近い東大生は、それぞれ違う場所に生まれ育ってこの武道館に集って来ています。どれだけ似た境遇にあろうとも、3000人それぞれが異なる18年、19年、20年或いはそれ以上の記憶をもってここに座っているはずです。そこで今、ここにどのくらいの記憶があるのか、ざっと計算しやすいために、一人20年生きているとして、3000人、20年×3000、つまり6万年分の東大生の記憶が、この武道館に集っている。

6万年分の記憶、なかなかのものです。6万年前に何が起こりましたか? 今の姿の人類、ホモサピエンスが、(アフリカを出て)世界中に広がっていった頃です。その頃から今日までの分量だけの時間の記憶、六万年分の記憶が、この武道館に一堂に会しているのです。ただの入学式ではないんです。「6万年分の記憶が東大へ入学する式典in武道館」なんです。入学式に迫力が出てきました。

そこで、この若き東大生の6万年記憶パワーこそが、未来を輝かせる、そのことを示すために、バトルさせることにします。

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