悲観論の一方、消費抑制のデータは限られる
こうした悲観論がある一方で、米国民が実際に消費を抑制しているというデータは今のところ限られている。3月の米小売売上高は1.7%増加し、過去約3年で最大の伸びを記録した。この数字は主にガソリン価格の上昇に押し上げられたもので、ガソリンスタンドの売上高は15.5%の急増となった。しかし、ガソリンや自動車、その他の変動の激しい項目を除いたコア小売売上高も0.7%の増加となっており、これは市場予想の3倍の数値にあたる。
4月に第1四半期決算を発表した米国の主要金融機関も、家計の財務状況は良好であるとの見解を示している。しかし、こうした活発な小売活動は、税金の還付金が例年より多かったことが一部の要因となっている可能性がある。オックスフォード・エコノミクスなどは、多額の還付金による追い風は間もなく止み、エネルギー価格が高止まりする中で、家計は裁量的支出(娯楽費など、生活に必須ではない支出)を削減せざるを得なくなると警告する。
スタンフォード大学経済政策研究所(IEPR)の推計によれば、イラン攻撃がもたらしたガソリン価格の急騰は、米国民が支払う年間の平均燃料費を857ドル押し上げるという。財務省は今期の確定申告シーズンで還付金の増分が平均して1000ドルになると予測しており、燃料費の増加は還付金の増加による効果をほぼ帳消しにしてしまう。
イラン紛争による物価高は意外な製品にも波及している。マレーシアに拠点を置く世界最大のコンドームメーカーで、TrojanやDurexなどの主要ブランドに製品を供給するカレックスは、中東での紛争に起因するサプライチェーンの混乱を理由に、最大30%の値上げを実施すると発表した。この値上げは主にシリコーンオイル価格の高騰が要因だが、ゴムやアルミ箔包装のコスト上昇も影響している。カレックスのCEOはロイターに対し、運賃の上昇と配送の遅延が在庫不足を招いていると語った。
中東における恒久的な和平合意はいまだ実現しておらず、これが経済の不確実性を高め続けている。依然として紛争とガソリン価格の動向が消費者にとって最大の関心事だ。来週開催される連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策立案者たちがイラン情勢によるインフレの衝撃を考慮し、金利を据え置くべきか、あるいは利下げに踏み切るべきかを検討する。また30日には、商務省が第1四半期の経済成長率(GDP)推計値を発表する予定で、米国経済の現状に関するさらなるデータが提示されることになる。


