「最初はぎこちなく感じる」のが効いている証拠
では、どうすればよいのか。まず、その瞬間を言葉にし、自己認識に錨を下ろす。「私は話していることを自覚している」「私は歩いていることを自覚している」「私は苛立っていることを自覚している」「私は自分が正しいと思いたがっていることを自覚している」。
最初はぎこちなく感じる。それこそが効いている証拠だ。自動運転を中断しているのである。
私が言わなかったことにも注意してほしい。「苛立つのをやめろ」とは言っていない。「ポジティブに置き換えろ」とも言っていない。自己認識は感情の抑圧ではない。判断せずに観察することだ。
ここでハイパフォーマーは行き詰まる。怒りや恐れ、焦りを感じると、即座にそれを「悪いもの」だと判断し、消し去ろうとする。その内なる葛藤は、なお自我(エゴ)にほかならない。自己認識は、真実をただ見つめる。はっきり見えるようになれば、はっきり選べるようになる。
これを小さな単位で試してみてほしい。会議が始まる前の10秒。挑発的なメールに返信する前のひと呼吸。歯を磨いている間の30秒。そして、それがどのような違いを生み得るかに気づいてほしい。
精神的な雑音から洞察へ
私が自己認識を重視する理由の1つは、解決策が到来する仕方を変えるからだ。
キャリアの初期、私は突破口を得ようと、執拗な思考で無理に押し切ろうとしていた。だが時間とともに、直観に反することを学んだ。最良のアイデアは、心が静かなときに生まれていたのだ。今、大きな決断が生じたら、私はしばしばそれを1日か2日手放す。余白をつくり、その余白の中で明晰さが現れる。
ハーバード大学の研究者たちは、8週間のマインドフルネス・プログラムの後に測定可能な脳の変化が起きたことを観察し、「今この瞬間」に向けた非判断的な自己認識は訓練可能であることを示した。だが朗報は、始めるのに8週間は必要ないということだ。必要なのは、「私は自覚している」と認める正直な一瞬である。
その習慣を築けば、自分は思考でも、感情でも、成果でもないことに気づくだろう。自分は、それらすべてを観察できる自己認識そのものである。そのアイデンティティから、あなたのリーダーシップはより落ち着き、意思決定はより明快になり、仕事は戦いのように感じなくなる。
そして信じてほしい。チームはその違いを感じ取る。


