私はひどく興奮していた。少なくとも今回は全国放送のテレビ中継はなかったが。4人の勇敢な宇宙飛行士を乗せたオリオン宇宙船が猛烈な勢いで地球の大気圏に再突入した時、私は指をクロスさせて宇宙旅行の神に祈った。
この先日、MSNBCテレビキャスターのアリ・メルバーの番組に解説者の1人として出演していて、アルテミス2ミッションを打ち上げる巨大なロケットが発射台を離れてゆっくりと動き出した時にも、同じ感情が沸き立っていた。幸いにも、再突入は打ち上げと同様に、手順どおりに成功を収めた。NASAが並外れた歴史を持つことを考えれば、当然そうなると思うべきだったのだろう。
予想外だったのは、米国全土のみならず世界中のこれほど多くの国々で、アルテミス2ミッションがいかにしてそれ自体を超えたはるかに大きな意義を体現するものとなったかという点だ。50年前にすでに成し遂げたことを、別のグループが宇宙空間で再び実行していることに対し、なぜ世界はこれほど強く反応したのだろうか。
アルテミス2とは本当は何だったのか
計画書の上では、アルテミス2は長期的な月面滞在を確立するというNASAが提示した目標の次の段階だった。アルテミス3では、月面着陸の重要な構成要素の軌道上テストを実施する見通しだ。アルテミス4では、人類を再び月に降り立たせる予定だ。これ以降、NASAは着実なペースで打ち上げを行い、恒久的な月面基地の建設に着手したいと考えている。だが、このような概説では、今回の大胆な取り組みの動機や、10日間のミッションの間にそれが人類にとってどのようなものに変わったかの説明にはならない。
まずは、なぜ米国がアルテミス計画を進めているか、その理由から説明しよう。
月に戻るために必要な資源の投入に米国が前向きになっている理由はたくさんある。第1の理由は、1969年に米国を月へと到達させたのと同じ、地政学的な事情だ。
今回のNASAの対抗役を演じるのは、ロシアではなく中国だ。1960年代末までには、ロシアが月に到達しそうにもなく、ましてや米国に先んじることなどないことが明らかになっていた。今回、中国はその野心的な宇宙計画の目標をことごとく達成してきている。中国が米国より先に月に到達する可能性は十分にある。残念ながら、「低地球軌道(LEO)」はすでに係争空間となりつつある(米軍の新部門である宇宙軍が創設されたのはそういう理由からだ)。月をめぐる中国とのこの競争もまた、アルテミス計画の動機の1つをもたらしている。



