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2026.05.01 13:30

世界シェア1位のトップが語る積分経営、売上1兆円超えへの組織再編:SCREENホールディングス 後藤正人

後藤正人|SCREENホールディングス 代表取締役 取締役社長CEO

後藤正人|SCREENホールディングス 代表取締役 取締役社長CEO

比叡山を一望できるSCREENホールディングス本社。朝9時前、静かなオフィスに社員歌「5Sの歌」が流れた。シンガーは「宇宙戦艦ヤマト」のささきいさお氏。勇ましい曲が流れ終わると、2025年6月に社長に就任した後藤正人が姿を現した。

「曲が流れると仕事開始です。もともとは7時前に出社して、曲が流れるまで仕事の準備をいろいろしていたのですが、今は車の送迎の関係で出社が8時過ぎになってしまった。社長は不自由なものですね(笑)」

社長就任の打診は25年の年明けだった。不自由を承知で引き受けたのは、「自分がノーと言えば会社にどういった影響があるか」と考えたからだ。SCREENホールディングスは世界シェア1位を誇る半導体洗浄装置のほか、ディスプレイ製造装置や印刷機など幅広く事業を展開している。現在の売り上げの約8割は半導体事業。入社以来半導体一筋だった後藤が、「次世代に引き継ぐまで、当面は半導体事業の経験者がやらないといけない」と覚悟を決めたのも無理はなかった。

ただ、ホールディングスを率いるには半導体以外の事業にも精通しなければならない。後藤はトップ就任後、各事業の現場に足を運んで現状把握に努めた。自分の目と耳で情報を集めて約半年。確信したのは、事業再編の必要性だった。

「ホールディングス体制になった12年前は、半導体、ディスプレイ、プリント基板のエレクトロニクス各事業会社が、それぞれにやっていくことが理にかなっていた。しかし半導体事業が成長してバランスが変わった今、各事業の管理機能が別々に設置されているのは非効率。根っこが同じエレクトロニクスの各事業については、一部を共有化する再編を検討しています」

組織再編は摩擦や混乱がつきものだが、ひるむ様子はない。

「丁寧な説明は必要です。ただ、それでも摩擦は起きるし、摩擦が起きれば熱も出る。火がつかなくても多少の煙が出る程度なら仕方ない」

引き受けた以上、やるべきことをやる。その姿勢は昔から変わらない。

後藤は1995年、単身でアメリカに赴任する。現地メーカーに洗浄装置を本格的に展開することになり、サービス技術者として白羽の矢が立った。着任1週間後、さっそく洗礼を受ける。テキサスの顧客に呼ばれて駆けつけると、会議室に連れていかれて約20人から一斉に故障についてクレームをぶつけられたのだ。

当時の後藤の英語力では南部訛りを聞き取れなかった。同行したローカルの技術スタッフは採用1カ月で装置の知識に乏しく、助けにならない。逃げ出したくなるところだ。しかし、笑ってごまかすことはしなかった。

「『よくわからないからゆっくり系統立てて話してほしい。そのかわり絶対直す』とストレートに言いました。説明を聞いて『たぶんわかった』と答えても、『たぶんでは直せない』というので、ならば『もう一回』と。最後はノートを出して筆談に近かった」

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文=村上 敬 写真=苅部太郎

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