物おじせずに粘り強く対応した結果、状況を正確に把握でき、翌日には装置が復旧。以来、顧客や現地社員から一目置かれるようになった。
「アメリカには6年半いました。出国する時、現地社員から『あなたはタフでフェア』と評価してもらえたことがうれしかった。あのときの経験が私のリーダーシップの原点です」
後藤のタフさはテキサスの逸話からうかがえる。一方、フェアネスを象徴するのは半導体事業会社SCREENセミコンダクターソリューションズ社長時代の取り組みだろう。
社長就任時、同社の営業利益率は一桁で、20%強の競合と比べて見劣りしていた。原因のひとつは、海外各拠点に点在する保守在庫。収益改善のためにパーツは日本に集約してその都度送る方式を検討したが、現地法人から「デリバリーが遅くなる」と反発を受けた。
「現地法人の心配は、顧客からのクレームとパフォーマンス評価のスコアの低下でした。そこで『パーツ提供に関するスコアがゼロになっても評価結果はいとわない』と約束したら協力してくれた」
収益性が改善し始めたのは改革に着手して2年たってからだ。すぐに結果が出なくても焦りはなかった。
「仕事は“積分”です。短期で凸凹があっても一喜一憂せず、最後に面積を取れればいい」
理系らしい表現で自らの経営哲学を語る後藤だが、グループ全体を率いる今、どうやって面積を最大化するのか。最後にこう教えてくれた。
「2023年公表の『経営大綱』で、33年3月期に売り上げ1兆円以上というところまではほぼ描けています。私の役目は33年以降の面積を考えること。次の一手を打つための資金は、事業再編による効率化で確保できる。どの領域で将来のシーズを育てるか。これからしっかり見定めます」
ごとう・まさと◎1962年、東京都生まれ。三谷電子工業(現ミタニ マイクロニクス)入社。90年大日本スクリーン製造(現SCREENホールディングス)入社。2019年SCREENセミコンダクターソリューションズ社長を経て、25年6月より現職。


