コミュニケーションの回復が心の健康にもつながる
ヒアリングアシストイヤホンは、日常会話のサポートにとどまらず、騒がしい場所での打ち合わせなどでも相手の声を明瞭に拾うことができるなど、幅広いシーンでの活用が期待されている。
さらに特筆すべきは、「聴こえ」のサポートが心身のウェルネスに直結するという点だ。
聴力が低下すると、相手に何度も聞き返すのが億劫になり周囲とのコミュニケーションを取ることに消極的になってしまったり、趣味から遠ざかってしまう人も多いという。それが原因で社会的な孤立や認知症のリスクを高めると言われている。
「耳から入ってくる情報が途絶えることによって、脳内が活性化せず認知症につながるという話もあります。聴こえをサポートすることでコミュニケーションが活発になれば、日々の生活の質が向上し、それが結果的に体の健康だけでなく、心の健康にもつながる。これは当社の『音を通して心豊かな人生を』というブランドステートメントにも通じています」と成原氏は語る。
当たり前に耳をサポートできる社会へ
このようなaudio-technica MIMIOの理念と「聴こえ」の課題を啓発するため、同社は3月3日の「耳の日」に合わせて「聴難問チャレンジ」というプロモーションを実施した。 参加者に超高難易度の音声クイズを出題する体験型コンテンツで、自身の耳の衰えを「自分ごと化」しにくい現状に対し、一方的な情報発信ではなく「聴こえているはずなのに解けない」という体験を通じて、無意識のうちに自身の聴覚と向き合う状況を作り出すことが狙いで実施した。
特設サイトへのアクセスは1.46万人を超え、SNSでは参加者による考察投稿が相次いだ。「問題が難しかったという声もいただきましたが、狙いとしていた『自分の聴こえに関心を持っていただきたい』という部分で、みんなで聞いて会話が発生するなど反響があったと感じています」
現在、audio-technica MIMIOは国内展開がメインとなっているが、将来的には海外展開も視野に入れている。 「現在はまだ聴こえに関する社会的な課題が広く浸透していないと感じています。気づいた時には遅いということにならないよう、まずは聴こえにくさを感じている方への認知を広げ、多くの人に手に取っていただきたいです。将来的には、耳のコンディションをチェックするような機能の実装も検討しています」
日本の少子高齢化や、耳を酷使する状況が進む中で、聴こえに課題を抱える潜在層は急速に増加していくと見込まれている。成原氏が目指すのは、誰もが気兼ねなく耳のサポート機器を使える社会だ。
「目が悪ければメガネをかけるように、耳が聴こえづらければヒアリングアシストイヤホンをつけるという当たり前の選択肢を増やしたい。聴こえの悩みを抱えることへのコンプレックスや違和感をなくし、誰もが堂々と使えるような社会を作っていきたいです」


