売上高の90%を国内市場から得ているリーダードライブは、海外市場の開拓にも乗り出している。2月には、台湾のビリオネアである秦榮華(チン・ジョンホワ)率いる自動車部品メーカーMinth Group(ミンス・グループ)と合弁会社を設立し、米国でヒューマノイド向け関節モジュールの開発を始めた。J.P.モルガンは2月のリポートで、この合弁事業について「テスラ、Figure AI、ボストン・ダイナミクスといった主要顧客への供給に有利な立場にあり、米国でのヒューマノイドロボット普及加速の恩恵を受ける態勢が整っている」と評価している。
南京大学で物理学を学んだ昱昱は、1999年に蘇州の金属加工会社、恒加金属(ヘンジア・メタル)に入社し、機械工学部門の責任者に就任した。リーダードライブの2020年の目論見書によると、彼は事業領域を電気部品にまで拡大し、スイスのABB、米ゼネラル・エレクトリック、日本の不二越(NACHI)といった大口顧客を獲得した。
2003年、昱昱はロボット部品分野に転じ、本業の傍ら波動歯車装置の開発に取り組み始めた。最初の製品が発売できる状態になったのは2011年のことで、このときリーダードライブを設立したと目論見書に記されている。2020年に国有紙「上海証券報」のインタビューに応じた昱昱は、成功に至るまでの苦労を明かしている。「中核技術は日本企業にしっかりと握られていました。私たちには設計図もなく、ひたすら試行錯誤を繰り返すしかありませんでした」と振り返り、「成功の秘訣があるとすれば、それは耐え抜く力と、時間をかける覚悟です」と語った。
兄の晶は税務局に勤めていたが、2014年に総経理(ゼネラルマネージャー)として同社に加わった。兄弟は2020年に上海証券取引所の科創板(STAR Market)で株式を公開し、IPO(新規株式公開)で約11億元(約253億円)を調達した。
左兄弟は、ロボットのサプライチェーンから巨万の富を築いた最新の中国人ビリオネアだ。他にも、長春に拠点を置くロボット用イメージセンサーメーカー、Gpixel Changchun Microelectronics(長光辰芯微電子)の創業者、王欣洋(ワン・シンヤン)や、人間の目のようにロボットに奥行き知覚を可能にする3Dビジョンカメラを製造する深圳本社のOrbbec(奥比中光、オルベック)の創業者、黄源浩(ホアン・ユエンハオ)がいる。


