ソフトウェア企業を巡る悲観論、「SaaS黙示録」の恐怖が加速
ウォール街で「SaaS黙示録(SaaSpocalypse)」と呼ばれるソフトウェア企業への悲観は、2026年に入って加速している。Anthropic(アンソロピック)やOpenAIなどAIモデル開発企業による製品開発やローンチが相次ぎ、AIが人間の労働者を置き換えるだけでなく、企業が対価を支払って利用しているソフトウェア・アプリそのものを奪いかねないという恐怖を呼び起こしているためだ。
これらのソフトウェア・アプリを販売する企業(なかには従業員1人当たりでサブスクリプション料金を課す企業もある)は、企業が人員を削減することで収益モデルが脅かされるだけでなく、AIによって模倣され得る製品そのものが脅威にさらされている。
先週、ウェブサイトやデジタル製品向けのデザインツールを販売するFigmaは、AnthropicがClaude Designを公開した後、1日で株価が10%下落した。Claude Designは、デザイン経験やFigmaのライセンスがなくても、テキストプロンプトを視覚的なアウトプットに変換できるAI搭載のデザインツールだ。Figma株は本日11%下落しており、2026年に入って54%急落している。
IBMは、コンサルティングとハードウェア事業のおかげで歴史的にはより耐性があると見なされてきたが、Anthropicが、AIはIBMが長く支配してきたコーディングのニッチ領域のモダナイゼーションを企業が進めるのを支援し、同社の高収益サービスの一部を不要にし得ると述べた後、2月に1日で株価が13%下落した。
TurboTaxとQuickBooksのメーカーであるIntuit、そしてWorkdayは、2026年のS&P 500の中でも特にパフォーマンスが悪い部類に入り、両社株はいずれも約40%下落している。
反論を試みる逆張り勢
この壊滅的な展開は、意外な逆張り勢を生み出している。映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』で知られる投資家マイケル・バーリはSubstackへの投稿で、「不可能なAIナラティブによるソフトウェア虐殺」には反転が起きると見込むと記した。
一方、ジェフリーズのテックアナリスト、ブレント・ティルは、AIツールが業界全体を殺すという考え方は誇張され過ぎだと主張した。「今はSaaS黙示録に対してネガティブに振れ過ぎている。バリュエーションは押し下げられているが、戻るだろう」と、長年テック分野の投資銀行家であるブランドン・ハイタワーはForbesに語った。
ソフトウェア企業の経営陣の一部も公に反論している。Atlassianのマイク・キャノン=ブルックスCEOは2月、ブルームバーグ・テレビジョンに対し「AIはAtlassianにとって、そして私が属するソフトウェア業界の一角にとって、これまで起きた中で最高の出来事の1つだ」と語った。しかし市場は、今のところ納得していない。Atlassian株は本日10%下落し、2026年に入って57%下落している。
今後数週間で、テック企業の決算発表が相次ぐ見通し
決算シーズンは本格化しており、今後数週間でテック企業の決算発表が相次ぐ見通しだ。アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、メタはいずれも来週4月29日に第1四半期決算を発表する。Atlassian、Cloudflare、Datadogを含むエンタープライズ向けソフトウェア企業も今後数週間で決算を公表する。投資家は、5月から6月にかけてソフトウェア企業が第1四半期決算を発表し続ける中、それらの決算から引き続き目を離さないだろう。


