資金流入から判断する限り、投資家の間でも航空宇宙・防衛分野への需要が急速に高まっているようだ。
調査会社ディールルームのデータによると、2020年時点では、防衛テック分野のベンチャーキャピタル(VC)調達額は世界全体で8億6900万ドル(現在の為替レートで約1390億円)にとどまっていた。それが2025年には112億ドル(約1兆7900億円)に膨らんでおり、5年で10倍超に拡大している。
公開市場でも同様の動きがみられる。航空宇宙・防衛関連の上場投資信託(ETF)には3月に約30億ドル(約4800億円)の資金の純流入があり、月ベースで過去最大の純増を記録した。おそらくこれは一過性の現象ではあるまい。
米国の新世代の防衛テック企業に起こっていることを見てみよう。AIを活用したデータ分析を手がけるパランティア・テクノロジーズの時価総額は、足元で3000億ドル(約48兆円)を超える。2025年10月下旬につけたピークの4750億ドルからは縮んでいるものの、ロッキード・マーティンやRTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)といった伝統的な防衛大手を上回っている。現在はフロリダ州マイアミに本社を置くパランティアについて、トランプも先日「優れた戦闘能力と装備を実証している」とソーシャルメディアへの投稿で持ち上げた。
自律システムを開発する創業10年ほどのスタートアップ、アンドゥリル・インダストリーズは、このほど完了した資金調達ラウンドで600億ドル(約9兆6000億円)の評価額を得た。企業価値はこの2年、年々倍増している。米シンクタンクのブレナン・センターの調査によると、アンドゥリルは売上高も2016年から2025年の間に中央値で年率143%伸びており、主要な防衛請負企業のなかで最速の成長を遂げている。
そしてスペースXだ。同社は最近、非開示で新規株式公開(IPO)を申請したと報じられており、評価額が1兆7500億ドル(約279兆円)に達して史上最大規模のIPOになる可能性がある。スペースXの企業価値には国防総省との衛星契約が大きく寄与している。
防衛テック分野にともる3つの「青信号」
最良の投資機会はたいてい次の3つの条件が揃った場合に訪れる。(1)政策による強力な追い風(2)真の技術的ブレイクスルー(3)実際の導入例──だ。
現在、防衛テック分野ではこれら3つすべてが同時に「青信号」となっている。
読者の方々には、投資判断をする前には自分でも調べることをお勧めする。筆者としては、この分野でホワイトハウスが1兆5000億ドルもの予算を求め、ETFが過去最高の資金流入を記録し、戦争のコスト構造が3万5000ドルのドローンで書き換えられつつある現状に鑑みれば、投資家は注目してもよいのではないかと考えている。


