聴衆が数字を思い描けないなら、記憶にも残らない。アルテミス2計画の報道には、データの伝え方や大きな数字を説明するためのより優れた方法が示されている。
印象的なデータや数字、統計を盛り込んだプレゼンテーションを行ったのに、聴衆の心に響かなかった。それどころか、彼らは途中で興味を失ってしまった。なぜだろうか。
数字を「地上に降ろす」ことに失敗したからだ。
この問題を解決するには、NASAによるアルテミス2計画の報道を参考にするといい。この歴史的な月周回飛行について耳にする詳細の大半はNASAから発信されている。記者たちがミッションの背後にある高度に専門的な科学を解釈する際、宇宙機関に頼っているからだ。
NASAには、大きな数字をわかりやすく伝えてきた数十年の経験がある。重要なのは、データを提示することではなく「翻訳」することだ。
ここでは、NASAが注目を集め、アイデアを記憶に残すために数字を翻訳する3つの方法を紹介する。
数字を「見えるもの」に変える
人々が数字をイメージできなければ、簡単に無視されてしまう。人間は大きな数字を視覚化するのが苦手なため、助けが必要なのだ。
たとえば、4人の乗組員が「ミニバン2台分」のスペースで生活し、作業していたという話を聞いたことがあるかもしれない。実際の数字を知る人は少ない。330立方フィート(約9.3立方メートル)の空間だ。それは意図的なものである。
ミニバンとの比較はNASAから直接発信され、世界中の報道機関が取り上げ、繰り返し伝えた。居住空間がいかに狭いかを説明するシンプルな視覚的表現だ。
オリオン宇宙船の船室の実物大模型を見たスカイニュースの記者は「とても狭い」と語った。確かにその通りだ。しかし「狭い」という表現だけでは明確さに欠ける。ミニバンとの比較が重要な役割を果たしたのだ。
聴衆が大きな数字を自分で理解してくれると思い込んではいけない。人間の脳は立方メートルを「見る」ことができない。脳は数字ではなく、イメージで考えるのだ。



