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2026.05.17 15:00

AIが解決できない教育の壁、グーグル幹部が語る「動機」の重要性

Bumble Dee - stock.adobe.com

北アイルランド教育庁との6カ月のパイロットでは、GoogleのAIツールを使う教師が平均で週10時間を節約し、その時間が生徒との関与と専門能力開発へ振り向けられたことが分かった。

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だがゴメスは、成功はツール配布以上のものに左右されると明言した。「私が成功を見てきたのは、学区が本気でコミットしているところだ」と彼は言う。「教師同士で話し合い、ツールを自分たちのものとして所有し、実際に自分たち流にしている」彼は、フロリダ州マイアミ・デイド郡を挙げ、教師たちの「生徒とのやり取りがよりパーソナルになり、授業という文脈のなかで生徒と過ごす時間が増える」様子を目にしてきたと述べた。

教師がつくり始めるときに起きること

AIが火花を与えられないなら、火花がすでにあるときは何が起きるのか。その最も生々しい例は意外な場所から出てきた。バイブコーディングのセッションである。

Googleは最近、全米56の「State Teachers of the Year」をマウンテンビューのキャンパスに招いた。訪問の一環として、教師たちはAIを使って実際に動くソフトウェアを構築するセッションに参加した。

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「どんな創造性が解き放たれるのかを見るのは驚くべきことだった」とゴメスは言う。「多くの人にとって、これが自分に利用可能な選択肢だとは考えていなかった」

ある事例が際立っていた。「障がいのある子どもたちと向き合う特別支援教育の教師が、まばたきの反射――まばたきや身体の動き――を使って、ほかにも重い障がいがある生徒が音楽をつくれるようにするアプリをコードで書いた」

ゴメスはその重要性を強調した。「これは存在するソフトウェアではない。必要性を見いだしたのは彼らだ。目の前の生徒のために、それをつくった」

製品チームなら決して思いつかないようなものを、教師がAIを使ってつくり出す。それが彼を最も興奮させる。そして、それは彼の中心的主張を裏づける。特別支援教育の教師がそのアプリをつくったのは、AIが提案したからではない。特定の子どもを気にかけていたからだ。動機は彼女自身のものだった。AIは、それを可能にした単なる道具にすぎない。

先週のある会議で、教育者が私に小声で打ち明けた。平日の夜や週末を使ってAIエージェントをつくり、自分のソフトウェアを立ち上げているが、学校ではそれを話せないという。周囲には「分かってくれない」同僚が多く、孤独を感じている。すでにつくり始めている教師と、まだ始めていない教師の間にあるこのギャップこそ、いま教育で最も切迫した分断かもしれない。

ゴメスはこれを、テクノロジーの問題ではなく根本的に人間の問題だと見ている。「私が見ているのは、実践のコミュニティだ――最前線にいる教師が、ほかの人たちが追いつけるように手を差し伸べる。そういうことが実はかなり大きな役割を果たす」と彼は言う。

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