彼は歴史的な類比も持ち出した。「歴史的に長い間、人が学ぶ内容は狭まり、狭い領域の狭い専門家になっていく傾向があった」と彼は言う。「さかのぼれば、価値あることなら何でもある程度は知っている『ルネサンス的人間』という概念があった」
彼はそこへの回帰を予測しているわけではない。「いまの知の範囲はあまりに広大だ」と彼は言う。しかし、AIが、何世代にもわたり職業人生を特徴づけてきた狭い専門性から、意味のある広がりを可能にすると見ている。
重要なのは、その広がりはすでに動き出している人にしか起きないという点である。学ぶことに関心のない学生が、ツールが良くなったからといって突然ルネサンス型の学び手になるわけではない。ツールは方向性を増幅するのであって、方向性そのものを与えるわけではない。
5%問題
もし動機づけが教育の本当の課題だとするなら、公平性の問いはさらに切迫する。なぜなら、最も重要な格差は、ツールへのアクセスではないかもしれないからだ。ツールを使いたいという欲求を生み出す人々へのアクセスかもしれない。
ゴメスはこのリスクを率直に語り、彼自身が「5%問題」と呼ぶ概念を提示する。
懸念は単純だ。AIを活用した学習ツールが高価である、あるいは十分な資源を持つ学校だけがそれを効果的に導入するなら、恩恵はすでに最も多くを持つ層へ集中する。ここ数カ月、エージェント型AIのサブスクリプション費用が上昇していることを踏まえると、これは机上の話ではない。だがゴメスの枠組みでは、問題は価格より深い。無料のツールであっても、人生の誰もその生徒に「手に取ってみたい」と思わせていなければ、やはり無用なのだ。
ゴメスは、複数レベルにわたるGoogleのアプローチを概説した。「最良のモデルのいくつかを含め、多くのものを無料で提供してきた」と彼は言う。基本的なアクセスのための安価なデバイスとしてChromebook、Android端末、そしてインターネット利用可能性に関する取り組みを挙げた。
しかし限界についても正直だった。「どれも完璧ではないし、そのスケールは単一企業の手に余るほど大きい」と彼は言う。「それは基本インフラという、政府レベルの問いだ」
彼がGoogle固有の貢献だと見るのは、教師研修である。「私たちは、教師がその場で学べるように、多様な形式で、短い単位の教師研修教材をつくることに多く取り組んでいる」と彼は言う。米国の教育者の研修を支援するというGoogleの最近のコミットメントは、AI教育助成金への1億5000万ドル(約237億円)の投資と並び、この方向での最大の推進力となっている。


