友誼食府では中国各地の地方料理や「小吃(シャオチー)」と呼ばれるファストフードを供する数店のブースが、簡素なテーブルと椅子だけが並ぶ狭いスペースを取り囲んでいる。出店しているのはローカルなガチ中華の店ばかりだ。
中華揚げパンの油条や豆乳などの朝食を出す「友誼早餐(ゆうぎそうさん)」、四川料理の「香辣妹子(シャンラーメイズ)」、中国最北の地である黒龍江省のロシア仕込みの腸詰や小吃を出す「東北美食」、台湾料理の「匯豐齋(えほうさい)」、上海料理の「大沪邨(だうつん)」、そして比較的最近オープンした西北料理のブースがある。
友誼食府のかつての主な客層は、隣接する中華食材店に買い物のため訪れる首都圏在住の中国やアジアの人たちだった。彼らは故郷の懐かしい味を求め、友諠商店という名の食材店を訪れたあと、立ち寄っていた。
友誼食府を運営しているのは、横浜のアジア食材輸入商社「友盛貿易」の関連会社である聖元株式会社だ。同社の長谷川聖人店長によれば、ここでフードコートを始めたのは「テナントに以前入っていた火鍋屋が撤退することになり、何人かのお客さんから、買い物のあとにひと休みできる場所が欲しいと言われた」のがきっかけだったという。
中国をはじめアジアの国々では、ショッピングモールや地下鉄駅に直結する雑居ビルにフードコートがある。客は食品売場で購入したドリンクや軽食を持ち込んでもよいし、店で注文して食べてもいい。そんな大陸的な気安さや自由を感じさせ、まるで海外を旅しているような気分が味わえる濃厚な現地感が、友誼食府の魅力でもあった。
実は、2021年夏には同じ池袋に新しいフードコート「沸騰小吃城」がオープンしている。福建省出身のオーナーに聞くと、友諠食府の人気に触発され、始めたのだそうだ。
こちらの店内は友諠食府より広々として、福建や上海、東北、重慶、湖南、広東などの珍しい地方料理のブースがあり、中国の北から南までの味を一挙に楽しめる。


