リーダーシップ

2026.04.28 16:00

エンゲージメント調査は無意味? 従業員が「離職を決める瞬間」とそれが見逃されてしまう理由

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なぜ今、従業員のエンゲージメントが低下しているのか

ギャラップの調査で示される「エンゲージメントの低下」は通常、雇用主や経営陣に対する不満の表れと解釈される。しかし、もし私たちが目にしているのが不満ではなく、絶え間ない再評価・見直しだとしたらどうだろう?

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人は日々、働き方や生き方の新たな形に触れている。ソーシャルメディアでは、キャリアの転換や副業、型破りな道に関する話が次々と現れる。AIは仕事の在り方を変えようとしており、既存のスキルの価値について絶えず疑問を突き付けている。仕事と生活の境界線はもはや、元に戻らないほど変化してしまった。

そうした環境において、人々はもはや自動操縦状態ではない。人々は絶えず現状を評価している。しばしば「静かな退職」と呼ばれる現象は、エンゲージメントの低下ではなく、こうした局面に対する反応、つまり、衝撃を受けた後に仕事を見直そうとする試みにほかならない。このように捉えれば、エンゲージメントスコアの低下は、ずれを黙って受け入れるのではなく、行動を起こそうとする姿勢の表れと言える。

課題は、組織の測定指標のほとんどが、安定性を捉えるように設計されている点だ。エンゲージメントスコア、パルス調査(短時間かつ高頻度に実施する短いアンケート調査)、ウェルビーイング指数などは、変動を平滑化し、経時的な傾向を捉えるよう設計されている。そうした設計上の特徴こそが、それらの根本的な限界でもある。

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一方、「衝撃」は正反対の性質を持つ。それは一時的なものであり、個人的なものであり、組織からはしばしば見えにくい。多くは、仕事の外で起こる。また、職場で発生しても、正式なフィードバックのルートには決して表出しないものもある。

しかし、それらはささいな摩擦や、行動の微妙な変化という形で表出する。率直に意見を述べる、境界線を調整する、新しい方向性を試す、労力の配分を見直すといったことだ。こうした変化は、通常のアンケートでは捉えられない。しかし、管理職が注意を払っていれば気づくはずだ。管理職が、効率化を名目にして1対1の面談を削ってしまうことなく、「調子はどう?」というシンプルな質問を投げ掛け、その後じっくりと耳を傾ければ気づくはずだ。

そうした管理職は、従業員が自分の仕事を再評価するときに、その過程をリアルタイムで把握する。そうした評価が、ダッシュボード上のデータポイントになる前に。そして、もはや覆すことのできない「退職という決断」に変わってしまう前に。

従業員のエンゲージメントとキャリアの意思決定に、AIはどのような変化をもたらしているか

これは特に、AIや仕事の未来に関する議論に当てはまる。従業員は、自身の役割やスキル、そして長期的な存在意義について、絶えず見直している。

AIは、明確なビフォーアフターがある単一の変革ではない。労働者にとってそれは、継続的な気づきとして機能する。つまり、自分が専門知識を培ってきた業務が、今や自動化され得ること、何年もかけて磨いてきたスキルが、以前ほど差別化要因にならなくなったこと、そして、新たな不確実性とともに新たな可能性が開かれていることへの気づきだ。

そうした気づきの一つ一つが、潜在的な「衝撃」となる。不安を煽るものもあれば、真に活力を与えてくれるものもある。いずれにせよ、それらは変化を生み出し、人々に何をするか、どうするか、なぜそれが重要なのかを再考させる。その結果、現在の労働者は、過去のどの世代よりも速く頻繁な見直しのサイクルに対応せざるを得なくなっている。

次ページ > 従業員の「エンゲージメント低下」に対し、リーダーは何をすべきか

翻訳=米井香織/ガリレオ

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