サービス

2026.04.24 10:30

AIエージェント時代に適合したAdobeの新マーケティングプラットフォーム、顧客体験基盤をオープン化

Adobeのシャンタヌ・ナラヤンCEO

Adobeのエンジニアリング責任者アンジュル・バンブリSVPは「これまでは担当者がマーケティングツールを操っていたが、今後はAIエージェントが動かすようになる。エージェントの時代には、多様なAIと連携しながら動かせる必要がある」と話した。2025年から加速した企業内のエージェント化の流れを受け、どれほど優れ洗練されたツールでも、AIと直接連携できないアプリケーションは選ばれなくなる。とりわけ生産性を重視し、エージェント導入に積極的な企業ほど、そうである。

advertisement

すでに勇退を表明しているAdobeのシャンタヌ・ナラヤンCEOは、かつてAdobeをパッケージソフトからクラウドサブスクリプションへ、さらにクリエイティブツール一本の事業から顧客体験プラットフォームへと押し広げてきた。クローズドな領域で事業の足場を固めてきた経営者が、最後に選んだ戦略が「オープン化」だった。AI時代における変化の象徴と言えるかもしれない。

ブランドを「経営資産」として活用可能に

もっとも、Adobeは単純にクローズドだったマーケティング基盤をオープンにしただけではない。差別化の核に据えたのが、Brand Intelligenceと名付けられた新しい仕組みだ。

これはブランドガイドラインの遵守を自動チェックするツールである。色が規定に沿っているか、テキストのトーンが合っているか、禁止表現を使っていないか──こうした検証の自動化は、すでに多くのツールが提供している。Brand Intelligenceが類似ツールと決定的に異なるのは、組織内で日々行われている判断履歴そのものを学習し続け、言語化されていないルールを抽出する点にある。

advertisement

ブランド担当者が過去にどのような案を却下し、どんな表現を承認してきたか。どんなフィードバックを付けてきたか。これらをテキスト、画像、動画、撮影スタイルまで横断的に学習する。

たとえば、P&GのGillette(ジレット)ブランドを考えればわかりやすい。「力強い男性」というメッセージを核に長年積み上げてきたブランドだが、近年の社会変化の中でその表現は細やかに調整され続けている。何を「力強さ」として見せ、何を避けるか──その判断は明文化された規則ではなく、現場の承認と却下の積み重ねの中に残っている。Brand Intelligenceは、その判断の痕跡そのものを学習する。

本質的にブランドとは、明文化しにくいものだ。いわゆる暗黙知であるブランドを、大きな組織のスケールにも耐えうる形で運用可能な資産へと変換する。従来なら、ブランドを熟知する少数のエキスパートの判断に依存してきた。しかしP&Gのように制作数が二桁も膨らむと、人間がブランドをコントロールすることは不可能だ。新人でも、遠隔地の制作現場でも、生成AIが作ったコンテンツでも、「らしさ」を保てる──Brand Intelligenceが目指すのはそうした水準である。

次ページ > 問われるAIツールの使い途

編集=安井克至

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事