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2026.04.24 10:30

AIエージェント時代に適合したAdobeの新マーケティングプラットフォーム、顧客体験基盤をオープン化

Adobeのシャンタヌ・ナラヤンCEO

スポーツ用品なら購入後どれだけ上達しているのか。家電なら使用シーン。金融なら家族構成の変化。自動車なら生活スタイルの変化。これらの情報を統合的に捉え、「顧客がどのような体験の旅をしているのか」を解釈し続ける仕組みがなければ、少しばかり工夫をしたところで「ちょっと親切なお店」で終わってしまう。

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ラックCTOはこう語った。「AIエージェントを一つ作れば、ユーザーに適切なゴルフクラブを推奨することはできる。しかしエージェントはユーザーの習熟度を知らない。『コーチのようなエージェント』を作ろうとすると、製品データだけでは足りない。次のトレーニングで何をすべきか、スイングの映像を分析し、身体データを参照し、店舗での試打やオンラインでの閲覧履歴──これらすべてのオーケストレーションを行ってこそ、エージェントは機能する」

人間のコーチは生徒の技術レベルを把握し、練習履歴を覚え、性格や目標を理解したうえで次の提案を行う。この役割をテクノロジーで再現するには、何が足りないのか。問いはここから始まる。

CMOとCTOの目線を合わせる

DICK’Sの事例が示すのは、AIを導入すれば容易に業態転換できるわけではない、ということだ。

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シルバーCMOは「マーケターが今日成功するために最も重要な関係性は、信頼できるCTOとの関係だ」と断言する。テクノロジーを語れる人物が、商品を売る方法を最もよく知る人物とコラボレーションを行う。これが出発点になる。

日本の経営会議で、マーケティングを語る役員とシステムを語る役員が、同じ顧客について同じ言葉で語れている場面がどれだけあるだろうか。多くの企業では、CMOは「ブランドイメージ」や「顧客ロイヤリティ」を語り、CTOは「システム稼働率」や「データガバナンス」を語る。両者の言葉は交わらない。顧客は、その間で属性データの集合として扱われ続ける。

この協業を実現するため、DICK’Sは「アクティベーション・スクワッド」と呼ぶ組織形態を採用している。業務チームと技術チームを事業目標ごとに固定ペアで組み、両者が同じKPIを追いかける仕組みだ。

このチームで顧客体験を追い求めるよう、人事の建て付けそのものを見直した。CMOとCTOが壇上で同じ言葉を使えるのは、組織の骨格がそう作られているからだ。

この構造的変革があって、初めてAIが機能する。マーケティングとテクノロジーの分断を残したままAIを導入しても、各部門が自分たちの領域でAIを活用するだけで、分断はむしろ深まる。経営者は問題を抱えたまま、AI投資だけが積み上がっていく。

Adobe Experience Cloudをオープン化

もっとも、組織を整えただけでDICK’Sのような運用ができるわけでもない。ラックCTOが言う「コーチのようなエージェント」を本当に作るには、単なるレコメンドエンジンでは足りない。顧客の文脈、コンテンツ制作、配信、ブランド統制、そしてそれらを横断して動くAIエージェント──これらを一つの基盤の上で扱える仕組みが必要になる。

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編集=安井克至

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