アート

2026.04.26 13:00

NYのニュー・ミュージアムが再オープン、「新しい人間」を問う展示

Exhibition view: New Humans: Memories of the Future, 2026. New Museum, New York. Courtesy New Museum. Photo: Dario Lasagni

「新しい人」は、機械になるものとして設計された。そして共産主義体制下のソビエトでは実際に、人々に自らを設計し直すことが求められていた。

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リシツキーの描いた人物像に基づく「新しい人」が実際に作られることはなかったが、ドイツでは同じ時期、(ワイマールに設立された芸術学校の)バウハウスで行われた「人間がどのような存在になり得るか」についての実験が成功し、舞台で上演された。

Exhibition view: New Humans: Memories of the Future, 2026. New Museum, New York.  Courtesy New Museum. Photo: Dario Lasagni
Exhibition view: New Humans: Memories of the Future, 2026. New Museum, New York. Courtesy New Museum. Photo: Dario Lasagni

(バウハウスのメンバーであるドイツの芸術家)オスカー・シュレンマーの「トリアディック・バレエ」ではダンサーたちに、振り付け以上の自由な動きができない衣装が与えられた。プリマ・バレリーナは重たい木製のチュチュをまとい、まるでジャイロスコープの中に収められたように動きを制限された。

また、彼女と踊る男性のダンサーたちは、人型のように、あるいは幾何学的に形を変えられたように見える衣装を身につけた。その衣装は、金属板やゴムといった現代素材によって作られていた。

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後にシュレンマーは『バウハウスの舞台芸術論』の中で、「最も冒険的な空想」は、「技術が生み出す新たな可能性」によって実現可能になるだろうと明言した。それを証明したのが、見事に奇妙な彼の「トリアディック・バレエ」だ。だが、機械的に動くダンスのぎこちなさは同時に、機械装置と人間の体が調和しないものであることを明示していた。

想像力は「強み」

本展では、1970年の「トリアディック・バレエ」の公演を記録した映像が上映されている。当時のダンサーたちの衣装は、デュシャンの『花嫁』やリシツキーの『新しい人』がシリコンバレーで生み出された製品とは似ても似つかないのと同じように、特別ハイテクなものには見えない。もちろん、それは現在の衣装でも同じだ。

では、テクノロジーが導くバーチャル領域への移行という混乱のなかで、私たちを方向づけるビジョンとして、これらの作品が現代においてもなお重要な意味を持ち続けるのは、なぜだろうか?

アートには、誘惑するものとして、あるいは警鐘を鳴らすものとして、可能性のある未来を現実のものにする力がある。アマゾンが作り出した作業員の行動を制約するケージとは対照的に、アートが行動を形作る可能性は大抵、想像したその行動をとることによって、現実のものになる。

脆弱なものとして、解釈されることかもしれない。だが実際には、これは強靭なものだ。想像に「時代遅れ」はないからだ。そして、特許とは異なり、芸術には「期限切れ」もない。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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