アート

2026.04.26 13:00

NYのニュー・ミュージアムが再オープン、「新しい人間」を問う展示

Exhibition view: New Humans: Memories of the Future, 2026. New Museum, New York. Courtesy New Museum. Photo: Dario Lasagni

Exhibition view: New Humans: Memories of the Future, 2026. New Museum, New York. Courtesy New Museum. Photo: Dario Lasagni

人間の生理機能は未来と相いれないものになると考えたアマゾンのエンジニアたちは以前、人間が技術の進歩の妨げにならないようにするための装置を考案し、特許を取得した。

2016年3月8日に発行された「米国特許第9,280,157号」は、稼働中の作業空間にいる作業員を「施錠できるケージ」に入れ、移動させる独占的な権利をアマゾンに付与している。人ひとりを閉じ込めるのにちょうどの大きさの金属製のケージは、自動化された機械の動きから物理的に作業員たちを保護することが目的であり、車輪がついたケージの移動は、管理者がコントロールするという。

この特許に関する話が広まり、ビジネス・インサイダーの記者が取材を始めると、アマゾンのオペレーション担当シニア・バイス・プレジデントはツイッター(当時)に、「悪いアイデアでも、特許が申請されることはある」と投稿した。

実際には、アマゾンはこの装置を製作していない。代わりにそれを形にしたのは、アーティストのサイモン・デニーだ。取得された特許の内容に忠実に従い、奇妙な歪みまで図面どおりに完全に再現した作品、「Amazon Worker Cage(アマゾンの作業員用ケージ)」が、再オープンした現代アート専門の美術館、ニューヨークにあるニュー・ミュージアム(New Museum)で開催中の「New Humans: Memories of the Future(新しい人間:未来の記憶)」に出品されている。

Courtesy New Museum. Photo: Jason Keen
Courtesy New Museum. Photo: Jason Keen

過去との「憂慮すべき」類似性

人間の脳や体をほとんど必要としなくなったような時代に、人間の周囲にあるネガティブスペースを効果的に再現したデニーの作品を展示していることは、ニュー・ミュージアムのキュレーターたちが探求を試みたテーマの幅広さを表している。

この展覧会ではそのほか、女性を機械として表現したマルセル・デュシャンやフランシス・ピカビアの挑発的な版画や絵画、身の回りにあるモノで作ったH・C・ウェスターマンやナム・ジュン・パイクの人型ロボットといった歴史的な作品も紹介されている。

また、現代のアーティストたちは、先人たちが最後に表したものの「続き」を表現している。例えば、ジェナ・ステラの「HMO Nutrix」は、人工乳を搾乳し続けている。混在しているのは、過去と現在の芸術的命題、あるいはコンピューターが生成するアートから惑星地球の放棄まで、テクノロジーの未来についての予測、または批評だ。

こうしたものを通じて数々のテーマを探求し、主張を展開することが可能になるなかで、キュレーターのマッシミリアーノ・ジオーニが関心を寄せるのは、「20世紀初めの数十年と、今世紀初めからの25年間の対称性」だ。特に、「20世紀初めにおける全体主義体制の台頭と、現在見られる現代のファシズムの広がりの間に見られる憂慮すべき類似性」だという。

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編集=木内涼子

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