それでもなおロシア軍は、損傷した装備を修理する体制を整えた防衛産業に支えられ、火砲を撃ち続けている。ロシア軍はさらに、D-20 152mmカノン榴弾砲のような旧式装備を引き出して再就役させ、より新しい自走榴弾砲を補完している。現在運用している火砲には射程が20km程度にとどまるものもあれば、ロケット補助弾を用いて40km以上に達するものもある。BM-30スメルチ多連装ロケット砲などのロケット砲システムは、70km以上先の目標も攻撃可能である。これら各種砲システムにより、ロシア軍は戦線に沿って多層的な火力ネットワークを敷いている。
ロシア軍砲兵の重大な脆弱性は弾薬補給
ロシア軍の火砲には多数の損害が報告されているとはいえ、その位置を特定するのは依然として容易ではない。多くの火砲は厳重に偽装・遮蔽されており、射撃しない限り発見するのは難しい。射撃後、榴弾砲は敵の対砲兵レーダーなどに探知されるのを避けるため、即座に移動する。
これらの火砲は主に装軌式か、戦術車両で牽引される方式なので、路外のさまざまな地形を走破し、予測可能な経路を避けることができる。また、射程などの異なるさまざまなタイプがあるため、ウクライナ側の陣地を射程に収めつつ、ロシア側の支配地域内に分散配置することも可能になっている。
戦場の幅と奥行きがきわめて大きいことから、ウクライナ軍がこれらの火砲を捜し出すのは根本的に難しい問題になっている。ウクライナ軍のドローンは広大な2次元空間を綿密に調べ、比較的小型で、厳重に隠蔽され、しかも頻繁に移動する目標の位置を突き止めねばならない。さらに、たとえ発見できても、ロシア軍の砲兵陣地の多くは対ドローンネットや、散弾銃を装備した兵士などの防御手段で守られている。
とはいえ、ロシア軍の榴弾砲をはじめとする火砲が持続的に射撃を行うには、砲弾の絶え間ない供給が必要になる。ロシア軍は弾薬を速いペースで消費しており、砲弾を1日あたり1万〜1万5000発発射していると推定されている。これらの弾薬はKamAZ(カマズ)-5350やウラル-4320をはじめとする補給トラックによって運ばれている。重積載のこれらの車両は、射撃要員側に弾薬を引き渡す砲兵陣地に向かう際に道路網を使わざるを得ない。


