サイエンス

2026.04.24 18:00

離島の植物はなぜ「病気に強い」? 隔離環境のメリットとデメリット

日本の離島、波照間島の植生(stock.adobe.com)

距離がもたらす保護効果

その最初の効果については、直感的に理解できる。離島では、真菌感染症やその他の植物の病気が著しく少なかった。そもそも症状を示す植物自体が少なかった。この違いは重要だ。つまり、隔離によって病気にかかる植物の数は減るが、病気の重症度は変わらなかったということだ。離島で病気が蔓延した場合、その深刻度は、海岸に近い島と何ら変わらなかった。距離は、病気が侵入するのを防ぐ障壁であり、治療法ではない。

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海は、物理的な障壁となる。ほとんどの植物病原体は、風や水、あるいは漂流物に運ばれて受動的に移動するため、外洋を渡ることは困難だ。島が遠ければ遠いほど、そこに定着できる病原体は少なくなる。やって来る病原体が少なければ、感染も少なくなる。

一方、昆虫による被害は事情が異なる。距離が離れるだけでは、食害は減少しなかったのだ。著者らはこの違いについて、生物の移動方法に起因すると推測している。すなわち、植物を摂取する昆虫などは能動的に移動するのに対し、病原体は受動的だ。蛾は飛んで移動できるが、真菌の胞子は空気や水流に乗って漂い、そのあとは幸運を祈るしかない。

距離がもたらす悪影響

この研究が興味深い点はここからだ。距離は、病原体を遮断するだけではなく、島の植生構成をも変えてしまう──孤立した環境で繁茂しやすい植物は、実は格好の標的となってしまうのだ。

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重要な手がかりは、葉の大きさだ。89カ所の調査区のすべてにおいて、病気と昆虫による被害の両方を最もよく予測する要因は、植物群落の平均的な葉の大きさだった。大きな葉を持つ種が優勢な島では、病気や食害がより多く見られた。そして、離島ではまさにそうした種が優勢だった。

この説明は、離島であるがゆえに、個々の植物の葉が大きくなる、ということではない。島々を跨いで、まったく異なる種が互いを置き換えていくことが原因だ。生態学者はこれを「種の入れ替わり」と呼んでいる。

本土に近い島々では、比較的葉が小さい樹木や低木の種が優勢な傾向にある。離島では、そうした種はほとんど姿を消し、大きな葉を持つ別の種に取って代わられている。研究者らは、隔離に起因する葉の平均サイズにおける変動のほぼすべてが、個々の植物が現地の環境に合わせて葉のサイズを調整したことによるものではなく、こうした種の置換によってもたらされたものであることを確認した。

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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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