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2026.04.30 14:00

AIサーバー需要で売上52%増の台湾チェンブロ、率いるのは70歳「シャーシの女王」

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AIサーバー向け需要を追い風に、売上高が約1100億円に到達

チェンブロは、サーバー向けの特注シャーシや既製品を、世界の大手企業に供給している。同社は顧客名を公表していないが、みずほ証券の東京拠点のシニアアナリスト、デール・ガイは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やオラクル、マイクロソフトを主要顧客の一部に挙げる。チェンブロは同業他社の多くと同様に、米国の半導体大手エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とも協業している。

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同社は2025年5月、AIサーバーや高性能コンピューティング向けサーバーの標準設計基盤であるエヌビディアの「MGX」アーキテクチャ向けに、モジュール式シャーシ部品を供給する契約を獲得した。

米国向けが売上高の半分以上を占めるチェンブロの2025年の売上高は、AIサーバー向けシャーシの需要が爆発的に伸びたことを追い風に、前年比52%増の220億台湾ドル(約1100億円。1台湾ドル=5円換算)と過去最高を更新した。純利益も84%増の36億台湾ドル(約180億円)に伸びた。「AI需要が高まれば、業界全体が恩恵を受ける」と話すみずほ証券のガイは、2026年も同社の売上高と純利益がともに約40%増えると予想している。

この驚異的な伸びの背景には、世界のデータセンター業界で進む巨額の投資がある。不動産コンサルティング会社JLLが2025年10月に公表したレポートによれば、この分野では2030年までに最大3兆ドル(約480兆円。1ドル=160円換算)の投資が必要になる見通しだ。同レポートは、データセンター業界の設備容量が倍増するのに合わせて、2030年までの年平均成長率が14%に達すると予測しており、その成長の大半をハイパースケーラーがけん引すると試算している。

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チェンブロの株価は、この1年で約3倍近くに上昇し、3月時点で868台湾ドル(約4340円)に達した。これにより、同社の時価総額は1090億台湾ドル(約5450億円)となった。同社は、2005年に台湾の店頭市場に上場し、2011年にメインボードに移行した。2024年にフォーブスアジアの「パワー・ビジネスウーマン」に選ばれたチェンは、1983年に夫のレオン・チェン、兄弟のフランク・チェンとともに同社を共同創業した。夫妻の持ち株比率は合計9.5%で、フランクは約11%を保有する最大の個人株主となっている。

みずほ証券のガイによれば、チェンブロの世界のサーバー向けシャーシ市場におけるシェアは、この10年で5%から10%へと倍増した。データセンターごとに求められる仕様が異なるため、この業界では1社が市場を支配する構図にはなっておらず、各データセンターが、チェンブロや競合各社を含むシャーシメーカーごとに個別の供給網を築いているという。同社の競合としては、いずれも台湾に本拠を置くAsia Vital Components(時価総額7600億台湾ドル[約3.8兆円])、InWin(同66億台湾ドル[約330億円])、AIC(同206億台湾ドル[約1030億円])などが挙げられる。

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翻訳=上田裕資

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