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2026.05.14 11:00

LEXUSの空の挑戦は続く 王座奪還を見据えるLPARが起こす“人中心”のイノベーション

LEXUSと世界的パイロット・室屋義秀がタッグを組んだチーム「LEXUS PATHFINDER AIR RACING(LPAR)」が挑む“空のF1”「AIR RACE X」。初代王者として挑んだ25年シーズンでは惜しくも2位という結果に終わるも、すでに今シーズンに向けて新たな技術開発に取り組んでいる。LEXUSが掲げる「人中心のクルマづくり」の哲学が、いかにして極限の空でイノベーションを引き起こすのか。王座奪還に向けた、知られざる挑戦の舞台裏に迫る。


進化の鍵は「機体」から「人間」へ

 “空のF1”と称される『AIR RACE X』において、2024年の初代シリーズ王者に輝いたLEXUS PATHFINDER AIR RACING(以下、LPAR)。しかし、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2025年シーズンは、僅差で年間総合2位という結果に終わった。

メンバーは、これまでチーム内で共通認識としてきた「勝ってこそだぞ」という言葉の重みを感じることとなった。そして今、かつてない熱量で26年シーズンの王座奪還へと動き出しているチームが次なる進化の鍵として選んだのは、これまでの「機体の空力改善」という枠組みを超えた、パイロットのパフォーマンスを最大化するコックピットの再定義だった。

「去年よりも確実にチームが強くなっている自負があり、王座奪還についても『いけるだろう』という感触は十分にあります」

6月の26年シーズン開幕を控え、パイロットの室屋義秀は静かに闘志を燃やす。25年シーズン最終戦、LPARはコースレコードを塗り替える活躍を見せるも、対戦組み合わせといった勝負の綾もあって、年間王者の座には届かなかった。室屋はその要因を、自身のコンディションによるタイムの変化、すなわちフライトの安定性にあったと分析する。

そこで、操縦姿勢を支えるシートの抜本的な再設計に着目。全体のラップタイムをコンマ3秒引き上げるイメージをチームで共有し、より本質的にパイロットが120%の力を発揮できる環境づくりに取り組んでいる。LPARがチーム発足当初から掲げている「年間1%の進化」という目標。それは単に機体の性能を上げることだけを指すのではない。LPARを率いるテクニカルコーディネーターの中江雄亮は、次のように語る。

「機械的なアップデートは必然的に突き詰めていきますが、それだけでは優勝に届かなかったという事実がある。そこで、室屋選手という“人間”と、機体という“機械”の接点をもう一度見直すことにしました。私たちはロボットレースをやっているわけではないですし、LPARもクルマづくりと同様に“人中心”でありたい。人と機械の関わり方を研究することは、自動運転などの次世代技術を研究する自動車会社の人間としても非常に興味深い挑戦です」

LEXUS PATHFINDER AIR RACING(LPAR) テクニカルコーディネーターの中江雄亮(左)とパイロット・室屋義秀(右)
LEXUS PATHFINDER AIR RACING(LPAR) テクニカルコーディネーターの中江雄亮(左)とパイロット・室屋義秀(右)

解剖学やデータから“下半身支持”の最適解を探る

エアレースの操縦においては、手元の操縦桿と足元のペダルを絶妙に同調させる高度な技術が求められる。機体が旋回する際、同時に発生する横ズレを足のペダル操作で完璧に抑え込む。このバランスが崩れると機体は横滑りしてしまい、致命的なタイムロスを招いてしまう。これまでのLPARのコックピット開発では、おもに操縦桿を扱う上半身のサポートに重点が置かれ、60kg近い負荷がかかるペダルの踏み込みや繊細な機体制御はパイロットの“気合と根性”頼りだった。

そこで26年度の新たな挑戦として、科学的なアプローチによって安定性高く速い動きを実現するためのシートの開発に着手。LPARは、4月上旬に2週間に及ぶ強化合宿を行った。今回のシート再設計において重要な役割を果たしたのが、トヨタ自動車硬式野球部のアナライザーを経て、現在はクルマ開発に携わりつつ、アスリートの動作解析を専門とするパイロットパフォーマンスアナライザーも務める澤山純也だ。

澤山は、地上競技のアスリート解析で培った解剖学的な知見をコックピットに持ち込んだ。骨盤を中心とした保持と可動こそが理想的なパフォーマンスの鍵であることを突き止め、飛行機特有の頭から足方向への強烈な荷重(縦G)に耐えながら、いかに効率的に筋肉を動かすかを追求している。

「室屋さんに『こう動いてください』と強いるのではなく、シートのサポート形状をミリ単位で調整することで、無意識のうちに理想的な動作へと導く。それが新たなシートの設計思想です」(澤山)

26年シーズンに向けて開発中の新シート。精緻なデータと日々の議論によって改良が加えられる。
26年シーズンに向けて開発中の新シート。精緻なデータと日々の議論によって改良が加えられる。
パイロットパフォーマンスアナライザーの澤山純也
パイロットパフォーマンスアナライザーの澤山純也

この「人中心」のアプローチをデータで裏支えするのが、野村高志と川内梨未からなる計測技術担当チームだ。同チームは筋電位センサーを室屋の身体に装着し、ペダルを踏み込んだ瞬間の筋活動を詳細に記録。合わせて機体の姿勢データも取得し、パイロットの動作と機体の挙動を統合的に可視化した。

「パイロットの感覚をデータで可視化することで、どこをどう改善したいかという議論を具体的かつ客観的に進めるための共通言語ができます。この地道な定量化の積み重ねが、結果として人間のパフォーマンスを最大限に引き出すことにつながるのです」(野村)

室屋選手の筋肉がどのように動いたか、データを蓄積・分析することでより建設的な議論が可能となる。
室屋選手の筋肉がどのように動いたか、データを蓄積・分析することでより建設的な議論が可能となる。
計測技術担当の野村高志(左)と川内梨未(右)
計測技術担当の野村高志(左)と川内梨未(右)

その結果、新しいシート支持システムによって、踏み込みの速度や安定性が10%〜20%ほどの向上が期待されている。すでに手応えを感じつつあるが、より困難な挑戦であったことは想像に難くない。「もし25年シーズンで優勝していたとしても、このシート改善に取り組んでいたか?」と室屋に問うと、少し考えた後にこう答えた。

「シートは2年近く前からの課題であり、これまでも改善を続けてきて、ある程度納得していた部分もありました。もちろん優勝していても研究は続けたでしょうが、2位という結果だったからこそ、困難な課題に対しても『どうしてもやるんだ』という強い思いが一層、熱量を帯びたのかもしれません」(室屋)

LPARは悔しさを原動力に変え、より困難な「人間そのもの」の領域へと挑み始めている。

イノベーションを呼ぶ本音の組織文化

LPARの強みは、単なる技術力の足し算ではないところだ。ここには、自動車開発の“熟練エンジニア”と、解剖学や計測の“若きスペシャリスト”たちが、職位や世代の壁を超えて激しく火花を散らす、特異な組織文化がある。

操縦環境チームリーダーを務める尾崎修一は、LEXUSの車両開発を数十年手がけてきたベテランだ。それでも、LPARでは澤山や計測チームといった若手たちと本気で意見をぶつけ合う。また、同じチームのなかに異なる持論をもつメンバーがいれば、意見を出し合う状況をつくり出すようにしているという。

「仲良しごっこをするつもりはありません。技術論の喧嘩なら、どれだけバチバチやってもいい。本音でぶつかることで個人や人間関係が成長していき、その先に生まれる技術こそがイノベーションにつながると考えています」(尾崎)

「尾崎さんは『専門家として入っているのだから、思ったことをしっかり伝えなさい』と背中を押してくれます。トヨタを背負っているような大先輩たちを前に、自分の意見を伝えるのは責任も伴いますが、すべては室屋さんに最高の機体を提供し、優勝してもらうため。ここには、そんな立場に関わらず本音でぶつかれる環境があるんです」(澤山)

ときには、「飛行機や自動車のシートはこうあるべきだ」という経験則と「解剖学的に身体をこう動かすべきだ」という理論が真っ向から対立したこともある。それでも、尾崎は双方の主張を翻訳し、室屋を交えた客観的な検証へと導くことで、単独では到達できなかった最適解を見出していった。

操縦環境チームリーダーの尾崎修一(左)と澤山
操縦環境チームリーダーの尾崎修一(左)と澤山

また、計測チームの野村と川内は、「スピード感と緊張感こそがLPARの醍醐味」だと語る。

「通常の基礎研究とは異なり、レースの現場ではフライト直後のデータを即座に解析し、調整に反映させるような瞬発力が求められます。F1のピットみたいなもので、実際にレース感覚で飛んで戻ってきた様子を踏まえて、トラブルを含めて次から次へと解決していかなければなりません。こうした経験は普段の人体計測ではなかなか得られないもので、プロとしての大きな糧になっています」(川内)

数多くのプロフェッショナルが、それぞれの信念や理論を携えて集うこのチームにおいて、空中分解を防ぐ鍵となるのが、年初に丸二日をかけて行われるチームビルディングだ。

室屋とテクニカルコーディネーターの中江を軸に、メンバーは会議室にこもり、「そもそも自分たちはなぜレースをするのか」という原点の問いから議論を始める。そこから技術的な目標や実現したい方向性を丁寧にすり合わせ、チームとしてのベクトルを毎年更新していく。

さらに、お互いの技術やアイデアを持ち寄り、「好きなものを使っていい」と率直に提示し合う。そのプロセス自体が相互のリスペクトを醸成し、個の力を束ねる強固な基盤となっている。

「チームの命題は、今までになかった技術をつくることや、これまでの常識とは違う視点でものを見ることです。そのために、性別や職位、職種、勤務地もバラバラな専門家が集まるチームづくりを極めてフラットにしています。全員がプロの専門家だからこそ、技術リーダーである私の独断で決めるということもほとんどありません。安全面を除き、現場の判断に権限を委譲することで、誰もが忌憚なく意見を言い合える環境を整えています」(中江)

フラットなチームだからこそ、忌憚のない意見を交わすことができる。
フラットなチームだからこそ、忌憚のない意見を交わすことができる。
幾度となくフライトテストを重ね、試行錯誤を繰り返す。境界線の突破への挑戦に終わりはない。
幾度となくフライトテストを重ね、試行錯誤を繰り返す。境界線の突破への挑戦に終わりはない。

トヨタという巨大な組織がもつ膨大なリソースと、エアレースという極限の現場が求めるアジャイルな精神。この二つを融合させることで、LPARは未知の領域へと突き進む力を得ているのだ。 

空の挑戦を「もっといいクルマづくり」へと還元

LPARで磨かれた技術、そして「人を測る」という深い知見は、エアレースに加えて、LEXUSの市販車開発にも還流されていく。

これまでも、航空力学を応用したリアウイングやHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)の表示技術、エンジンの空冷機構の考え方など、LPARの活動によって得られた知見がLEXUSに反映されてきた。今回のプロジェクトで得られた「人体の深部をサポートし、パフォーマンスを引き出す」というシートの知見も、すでに実製品への応用も検討されている。尾崎も、LPARが「イノベーションに近い変革をもたらす」と確信している。

「従来のシートは、運転時のしやすさや疲れにくさなど、クッション性やホールド性が主眼に置かれていました。しかし、私たちが目指しているのは、座るだけでドライバーの潜在的なパフォーマンスを呼び覚ますようなシートです。この研究を突き詰めていくことで、運転の楽しさが今と比べて何倍も跳ね上がるような、そんな未来もやってくるかもしれません」(尾崎)

0.1秒の操作遅れでも大きな時間のロスに直結するシビアな世界であるエアレース。そこで人間の運転技術や性能を発揮させるためのインターフェースが磨かれることによって、LEXUSが追求する安心・安全、そしてクルマを操る楽しさの実現も期待されているのだ。

室屋は、LEXUSが掲げるフィロソフィー「Pushing Boundaries(境界線を押し広げる)」を単なるスローガンではなく、LPARにおいて日々実践される血の通った行動そのものだと評する。そして、LPARの活動で目指すのは、より大きな希望へとつながった世界の実現だ。

「これから『AIR RACE X』を盛り上げることで、モータースポーツの大きなシリーズとして、世の中に広く認知されるプラットフォームにしていきたいです。それが航空産業全体だけでなく工業や新たな技術開発、次世代の育成につながり、日本を前進させるエネルギーになると確信しています」(室屋)

空で生まれた熱狂と革新は、LEXUSのブランド哲学を体現する技術者たちの手によって、私たちの乗るクルマの未来へとつながっている。

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LEXUSが“空”で見つけた仲間と技術──エアレースへの挑戦が拓くものづくりの未来
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■LPAR関連情報
LEXUS ‐ YOSHIHIDE MUROYA | SPORT | LEXUS NEWS
https://lexus.jp/magazine/sport/yoshihide-muroya/

■LEXUS PATHFINDER AIR RACING公式SNS
Instagram
https://www.instagram.com/lexus_airracing/
X
https://x.com/lexus_airracing

■AIR RACE X
https://www.airracex.com

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むろや・よしひで◎エアレース・パイロット、エアロバティック・パイロット。2009年に「Red Bull Air Race World Championship」にアジア人初のパイロットとして参戦。17年にアジア人ではじめて年間総合優勝を果たす。23年に新生エアレース「AIR RACE X」を発足し、初代チャンピオンには輝く。続く24年もシリーズ優勝を飾り、初のシリーズ王者となる。25年は年間2位に終わり、26年シーズンにて王座奪還を狙う。また、地元福島県では復興支援や子どもプロジェクトにも参画し、福島県県民栄誉賞、ふくしまスポーツアンバサダー、福島市民栄誉賞などを受賞。

なかえ・ゆうすけ◎Lexus International Co. レクサス統括部 主幹 兼 LEXUS PATHFINDER AIR RACING テクニカルコーディネーター。空力を専門として、LEXUSで数多くの自動車開発に従事。LPARでは開発領域全般の指揮を担当している。バーティカルターンなど、エアレースにおける常識を覆すようなアイデアを証明し、チームの「Red Bull Air Race World Championship」年間総合優勝や「AIR RACE X」での2シーズン連続優勝などに寄与した。

Promoted by LEXUS / text by Michi Sugawara photographs by Shuji Goto edited by Akio Takashiro