イランは17日、封鎖していたホルムズ海峡を商船が航行できるよう開放すると宣言した。これを受け、原油価格は急落し、航空会社の株価は急騰した。
残念ながら、その安心感は24時間も続かなかった。イラン革命防衛隊が2隻の商船を攻撃し、同国は翌日までにホルムズ海峡の支配権を奪還した。米国はその翌日、イラン船籍の貨物船を拿捕(だほ)した。22日に期限を迎える停戦が危うい状況にある中、原油価格は20日、5%急騰した。
地政学的な要因や燃料費の高騰に翻弄(ほんろう)されてきた航空業界にとって、今回の変動は今後の道のりが決して平坦ではないことを改めて思い知らせた。他方で、航空会社に対する投資は依然として魅力的だと筆者は考えている。
米国では先週、航空業界に関する報道が相次いだ。ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は米政府に対し、アメリカン航空との合併の可能性について提案したものの、アメリカン航空側が17日にこれを公に拒否したほか、スピリット航空は運航の継続に向け、政府に緊急支援を求めているという。
再編を繰り返してきた米航空業界
まず、航空業界の合併と買収について説明しよう。米国の航空業界の歴史は、まさに危機によって引き起こされた再編の歴史だ。その傾向は驚くほど一貫している。歴史的に見て、景気後退や戦争、原油価格の高騰といった外部からの打撃を受けた際、最も弱い航空会社は倒産したり買収されたりして淘汰された一方で、最も強い企業はスリム化され、収益性を高めながら生き残ってきた。
1978年の規制緩和後、運賃競争と供給過剰により利益率が圧迫され、80年代を通じて第1次合併の波が引き起こされた。その後、2001年9月11日に起きた米同時多発テロにより、トランスワールド航空は消滅し、USエアウェイズはアメリカウエスト航空との合併を余儀なくされた。2008年の金融危機をきっかけに、デルタ航空とノースウエスト航空、ユナイテッド航空とコンチネンタル航空、そしてサウスウエスト航空とエアトラン・ホールディングスが合併することとなった。
2013年にアメリカン航空がUSエアウェイズと合併した時点で、現代の米国の3大航空会社体制が確立された。現在の大手5社(デルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空、アラスカ航空)は1960年以降、40社以上の小規模航空会社を吸収合併してきた。
イラン情勢の悪化とホルムズ海峡の封鎖によりジェット燃料価格が急騰したことで、こうした状況が再び現れ始めているのかもしれない。格安航空会社のスピリット航空は、1年足らずの間に2度目の米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を受けており、清算の瀬戸際に立たされていると報じられている。最初はジェットブルー航空と、次にフロンティア航空と、スピリット航空が過去に試みた合併計画はいずれも失敗に終わった。既に経営が不安定な状態にあった同社は、燃料費を賄うことができなかった。



