公表済みの社会・行動科学の実験研究についての「再現可能性と信頼性」を大規模に検証した新たな調査により、過去に公開された結果のうち、新しい研究で再現できるのは約半分にとどまることが明らかになった。
これは「SCORE(Systematizing Confidence in Open Research and Evidence)」プロジェクトの主要な結論の一つだ。同プロジェクトでは、2009年から2018年にかけて62の学術誌に掲載された数千本の科学論文を分析した。この大規模な国際プロジェクトは、米国防高等研究計画局(DARPA)の資金提供を受けて実施された。
再解析の対象は犯罪学、経済学、教育科学、健康科学、リーダーシップ、マーケティング、組織行動、心理学、政治学、公共行政学、社会学といった分野の研究である。結果は権威ある学術誌Natureに掲載された以下の3本の論文にまとめられている。
・Investigating the reproducibility of the social and behavioural sciences
Olivia Miske ほか、Nature、オンライン版2026年4月1日、doi: 10.1038/s41586-026-10203-5。
・Investigating the analytical robustness of the social and behavioural sciences
Balazs Aczel ほか、Nature、オンライン版2026年4月1日、doi: 10.1038/s41586-025-09844-9。
・Investigating the replicability of the social and behavioural sciences
Andrew Tyner ほか、Nature、オンライン版2026年4月1日、doi: 10.1038/s41586-025-10078-y。
第1の論文は再現性(reproducibility)を評価した。これは、元のデータを別の研究者集団が改めて分析した場合に、同じ実験結果が得られるかという問いである。SCOREチームは、2009年から2018年に公表された論文600本を無作為抽出し、そのうち144本から元データを入手し、さらに別の38研究についてはデータを再構築した。
これら182のデータセットから、53.6%のケースで結果は「正確に再現可能(precisely reproducible)」であり、73.5%で「おおむね再現可能(approximately reproducible)」と判定された。後者は、効果量が元の結果の15%以内、または確率値が元の値から0.05以内に収まることを意味する。政治学と経済学の論文は他分野より再現性が高く、また新しい論文ほど成績が良かった。これはおそらく、サンプル期間の後半にオープンサイエンスの動きが勢いを増したことを反映している。データ共有を義務づける学術誌に掲載された論文でも、結果はより再現可能だった。



