それに対してシャドーブレイク社のフライングソードは、まさに本格的な実戦を想定した兵器のように見える。数字を検討してみると、実際に致命的な破壊力を持つことも推測される。
狩猟用クロスボウのボルト(矢)は約35gで、時速350kmで飛翔し、シカを容易に仕留めることができる。中世の長弓の矢は約80gとより重く、速度は時速220kmほどだった。フライングソードはこれらよりもはるかに高速であり、重量も少なくともその10倍はある。
歴史上にフライングソードに匹敵するものを探すなら、古代ローマのバリスタ(投擲器)にまでさかのぼる必要があるだろう。バリスタは戦場でいまで言えば大砲のように用いられた巨大なクロスボウ型兵器で、長さ1m、重量500gぐらいの投擲体を時速360kmほどで発射した。直撃すれば破壊的な威力を発揮した。東ローマ帝国の歴史家プロコピオスはその著作『戦史』のなかで、ローマ攻囲戦中、胴鎧で身を守っていたゴート族の弓兵に命中した際の様子をこう記述している。
「投擲体は兵士の胴鎧と体を貫き、さらに背後の木に半分ほどめり込んだ。兵士は木の着弾箇所にくぎ付けにされ、そのまま遺体として吊るされた」
時速450kmという数字が正しいとすれば、フライングソードはそれ以上に致命的な兵器だろう。ウクライナの戦場で使用されているFPVドローンの大半はそれよりも低速であり、それはたとえば、ロシア兵の乗ったオートバイに徐々に追いついていくドローンの映像からも見て取れる。他方、フライングソードのような弾丸形の空力形状をしたFPV迎撃ドローンのなかには、時速300km以上出るものもあるらしい。レース用のFPVドローンはさらに高速であり、時速600kmを超えるものもある。これらを踏まえれば、フライングソードの時速450kmという数字は十分現実的だ。
「運動エネルギードローン」の脅威
カルディロは、爆発性弾頭を搭載したタイプの開発も進めていると述べている。とはいえ、非爆発型であっても高い効果を発揮し得る。こちらのタイプの主な用途としては、ドローンや巡航ミサイル、ヘリコプターといった空中目標の迎撃が想定される。フライングソードは終末誘導を自律的に行う機能を備えており、これは目標に対して高速で接近することを考えれば不可欠な機能にも思える。量産型では、バッテリーの駆動時間を8分以上にすることが目指されているようだ。


