月利数%の短期融資が、ブティック型とプライベートバンクの二層構造を形づくる
こうした融資は、貸し手にとって高い収益を生む可能性がある。その大半は、通常30日から120日の短期融資だが、多くの借り手は、高級品を必要に応じて繰り返し資金を引き出せる与信枠のように使い、返済期限を延長したり借り換えをしている。バークによれば、Borroの金利は通常、月利で数%台前半に設定されており、これに保険料や保管料などの追加費用が上乗せされる。
また短期融資では、借り入れコストの総額が月5%前後に達する場合もある。その水準になると、年率換算のコストは60%近くに達しかねない。それでも、融資期間は年単位ではなく月単位であることが多いため、借り手はそのコストをスピードと柔軟性の対価と受け止めている。一方、貸し手にとっては、とりわけ借り手の再利用率が約74%に達していることを踏まえると、収益は急速に積み上がる。
担保価値に対する融資額の割合は、資産の種類によっておおむね40%から65%の範囲に収まるのが一般的だと、バークは説明する。ロレックスの腕時計のように換金しやすい資産は高めになり、より専門性が高い資産は低めになる。この水準は、バンク・オブ・アメリカのような民間金融機関とほぼ同じだ。こうした金融機関は、高額な美術コレクションに対する融資額を、通常は鑑定された公正市場価格のおよそ50%までに抑えている。
この分野の成長は、富裕層の高級品に対する見方の変化を反映している。彼らは高級品を、単なる収集品やステータスシンボルではなく、金融ツールとして捉えるようになっている。金や貴金属の価格がこの1年で急騰する中、Borroによれば、地金や金貨を持ち込む借り手は大きく増えたという。同社で最も多い担保品は、引き続きジュエリー、腕時計、ダイヤモンドで、その次にハンドバッグ、美術品、その他のコレクターズアイテムが続く。
ブティック型とプライベートバンクは、対象層も金融商品の設計も異なる
Borroのようなブティック型の貸し手は、単に融資のスピードが速いだけではない。金融商品の設計そのものが、従来の銀行とは異なっている。バンク・オブ・アメリカでアートサービス部門の責任者を務めるマネージングディレクターのドリュー・ワトソンによれば、この市場は実質的に2層構造になっている。1つは、幅広い資産を担保に、比較的高い金利でノンリコース融資を行うブティック型の貸し手。もう1つは、美術品やその他の高級資産だけでなく、借り手の資産全体も担保に入れてリコース融資を行うプライベートバンクだ。
バンク・オブ・アメリカが約10年前に本格化させた美術品担保融資プログラムは通常、評価額1000万ドル(約15億8000万円)以上の、国際的に知られたコレクションを保有する収集家を主な対象としている。融資額の下限は従来、おおむね500万ドル(約7億9000万円)からで、担保評価額に対する融資比率は通常、鑑定された公正市場価格の約50%が上限に設定されている。
こうした融資は通常、更新可能な信用枠として組まれ、期間は1年から3年程度、金利はおおむね1桁台に設定される。融資審査には約60日かかることもあるが、いったん与信枠が設定されれば、顧客は必要に応じてそこから資金を引き出せる。
「この2つの市場は、かなりはっきり分かれている」とワトソンは話す。銀行は通常、非常に大きな資産を持ち、コレクションも分散されている借り手に融資する。一方、ブティック型の貸し手が主に相手にするのは、より小規模な借り手や、リコースローンでは借り入れが難しい層だ。
ラグジュアリー資産担保融資は、巨大なプライベートバンク市場全体から見れば、今なお限られたニッチ分野にとどまっている。だが、リセール市場の厚みが増し、代替資産として扱われる品目が増えるにつれて、高級品は単なるステータスシンボルではなく、財務上の道具として扱われるようになっている。タイミングが評価額と同じくらい重要になる市場では、ロレックスもバーキンも、美術館級の絵画も、もはや単なるぜいたく品ではない。次の好機に備えるための待機資金にもなり得る。


