創業者兼CEOが語る、顧客が高級品を信用枠のように使う理由
「『こんな方法があるなんて知らなかった』と話す顧客があまりにも多いことは驚きだ」と、Luxury Asset Capitalの創業者兼CEO、デューイ・バークは話す。2016年に創業した同社は、初年度のうちに黒字化を達成した。同社はこの10年で、主力のオンライン融資プラットフォーム「Borro」のほか、ニューヨーク、パームビーチ、ビバリーヒルズの拠点を通じ、累計10億ドル(約1580億円)超を融資した。2025年の売上高は6500万ドル(約103億円)と推定されている。
起業家や投資家、コレクター、事業オーナーを含む顧客は、手持ちの高級品を必要に応じて現金を引き出せる信用枠のように使っている。金庫いっぱいの腕時計を持ち込む人もいれば、ハンドバッグを翌日配送で送ってくる人もいる。持ち物を運転資金のように扱う人は、今や増えつつある。
「うちの時計の顧客の1人は、ロレックスとパテックの順番待ちリストに絶えず名を連ねている」とバークは付け加える。「その客は店に来て、手持ちの時計1本を担保に融資を受け、新しい時計を買う。そうやってひたすらサイクルを回しているのだ」。
銀行が扱わない担保品でも、幅広く融資に応じる
この融資の魅力は、柔軟さにある。従来の銀行は通常、有価証券のポートフォリオや不動産を担保に融資を行うが、ラグジュアリー・アセット・レンディングの業者は、伝統的金融機関が「代替資産」として扱う範囲を超える幅広い品目にも融資する。Borroはこれまでに、スーパーボウルの優勝リングや日本刀、マンハッタン中心部の駐車スペースまでを担保に融資してきた。
この融資が支持を集める理由は明確だ。スピードがあり、人目を避けられ、個人保証もいらない。借り手は高級品を担保として差し入れ、すばやく資金を受け取り、返済後にその品を取り戻す。返済できない場合、貸し手はその品を引き取り、クリスティーズやサザビーズのようなオークションハウスを通じて売却することが多い。
ハンドバッグはここ10年で、最も急成長した担保品の1つに
ここ10年で、最も急成長した担保品の1つになったのがハンドバッグだ。とりわけ、希少な革素材を使ったものや特注品のエルメスのバーキンやケリーは、中古市場で数十万ドル(数千万円)もの値がつくのが珍しくない。
ビバリーヒルズのBorroの顧客の1人はかつて、約1年待って手に入れた特注のエルメスのミニ・バーキンを担保に約3万ドル(約480万円)の融資を受けた。この女性はこのバッグを約3万3000ドル(約520万円)で購入しており、中古市場では5万ドル(約790万円)超の値がついていたが、手放すつもりはなかったという。「エルメスのバッグを手に入れる機会は、そう何度もあるものではない。売りたくなかった」と話す彼女は、その融資を転売目的で保有していた物件の改装資金に充てた。「あの融資のおかげで、つなぎ資金を確保できた」と彼女は語った。
また、ロンドンを拠点とする別の事業オーナーの女性は、ダイヤモンドをあしらったバーキンやヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーを担保に、事業資金を繰り返し借り入れてきたと話す。あるときは品物を翌日配送で送り、数時間後に資金を受け取ったという。「ダイヤモンド付きのバーキンバッグがクローゼットに眠っているだけだった」と彼女は話す。「資産を使わず寝かせておくのではなく、収益を生む機会を手にすることができた」。
14世紀メディチ家にさかのぼる業態が、現代に形を変えて拡大
もちろん、高級品を担保にした融資そのものは新しいものではない。14世紀には、メディチ家がフィレンツェで富裕層向けに近代的な銀行業務の先駆けを築く一方、庶民向けには質屋も営んでいた。現在、この業態は従来の質屋やプライベートバンクに代わる、より上質な選択肢として広がっている。
バークによれば、このビジネスモデルの発想は、高級品の価値を適切に評価できない銀行に代わる融資手段を提供するというシンプルなものだった。「銀行というのは、『自分たちが何を知らないのかさえ知らない』と口にすることで知られている」と彼は語る。「不動産か流通性のある有価証券でなければ、価値はゼロとして処理してしまう」。
この融資には、もう1つ大きな魅力がある。ノンリコース型の融資ゆえに、借り手が返済できなければ、会社がその品を引き取って売却する仕組みだ。そのため信用情報の審査もなければ、収入証明も不要で、融資金はその日のうちに振り込まれることも多い。
Borroは50州すべてで顧客を抱え、融資残高は10年で約25倍に拡大
Luxury Asset Capitalは現在、デンバー、ニューヨーク、ロサンゼルス、フロリダに拠点を構え、Borroを通じて50州すべてに顧客を持っている。バークは、同社の融資残高がこの10年で約25倍に拡大したと述べたが、売上高の詳細は明らかにしなかった。融資額の平均は通常1万5000ドルから2万ドル(約237万円〜約316万円)程度だが、Borroでは最大500万ドル(約7億9000万円)まで融資している。


