ムーはまず5時間かけて起業について調べ、その後5日間スタートアップアクセラレーターでボランティアを行った。起業家と共に働くことで自信がつき、メンターとしては優れた能力を発揮できるものの、フルタイムの起業は自分や家族には合わないことが明確になった。
ムーは方向を転換し、副社長(VP)レベルの役職を目指すことにした。5週間の間にゴランと一緒に自分に不足している要素を補い、起業家のメンターやプレゼンコンテストの審査員、パネル登壇などを通じてオーソリティを築いた。
数カ月もしないうちにムーの自信は結果として表れた。ムーはVPに昇進し、その後IBMにスカウトされ、ハイブリッドクラウド部門を率いる上級管理職に就いた。
5-5-5ルールが機能する理由
5-5-5のような数字ベースの体系的な手法が人気なのはその明確さゆえだ。仕組みは非常にシンプルだとゴランは説明する。明確さと簡潔なストーリー、そして行動可能なステップがあれば自然とオーソリティが築かれ、物事は順調に進み始める。
順を追ったルールは単に覚えやすいだけでなく、認知負荷を軽減することが研究で示されている。だからこそストレス下でも落ち着き、「実行可能」と感じられる。手順の順番が記憶に残るため、複雑な内容を読み解く必要がない。これは「認知的チャンキング」と呼ばれ、脳に救いの手を差し伸べるようなものだ。
人間の脳の作業記憶には限界がある(一般的に5〜9項目と言われている)。情報を繰り返しが可能な小さな単位にまとめると、処理・記憶・実行が容易になる。人はバラバラな情報よりまとまった情報をはるかに効率よく思い出すことができる。
・「5-5-5」は1つのまとまり
・「手当たり次第」は認知的負荷が高い
5-5-5手法の主な利点は、数字に基づいた構造によって過度に考えたり、自己解釈したりすることなくプログラム全体を確実に実行しやすくなる点にある。
「主体的に取り組む人はこの不安定な環境で最大の自由と経済的利益を得る」というのがゴランの結論だ。「そうせざるを得なくなる前に素早く実験することが、状況が目まぐるしく変わる中で成功する鍵だ」。


