リーダーシップ

2026.04.21 00:38

優れたリーダーを生む「脳の可塑性」という武器

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アンジェリカ・コペックはビジネスストラテジストであり、フルスコープのマーケティング&テック・エージェンシー「She Knows Business Global Agency by Angelica Kopec」のオーナーである。

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ここ数年、私は神経科学、すなわち神経系を研究する学問に基づいた自己啓発書を数多く読んできた。だが最近、実体験から生まれる別の視点を得たいと思うようになった。そこで、コンサルタントで作家のビル・ライダーによるWhat's Next?: How to Make Your Next Chapter Your Best Chapterを手に取った。80代の男性からどんな知恵を学べるのか興味があった。結果として、学べたことは実に多い。この本は、私がこれまで真剣に考えたことのなかった問いを自分に投げかけるきっかけになったのだ。もし私の成功を形づくる最大の要因が、経験や仕事への姿勢ではなく、潜在意識だったとしたらどうだろうか?

多くのリーダーと同じく、私は成功とは主として規律、努力、粘り強さ、そして決意の結果だと信じていた。業界のリーダーたちと共に働き、自らマーケティングとテクノロジーの会社を運営するなかで、問題を厳密に分析し、批判的に考え、執拗な集中力で困難を押し切ることを学んだ。だが、そうした資質が間違いなく重要である一方で、話はそれほど単純ではないと気づいた。

人工知能がますます強力になるにつれ、かつて専門性を定義していた論理ベースの能力の多くをAIが担うようになっている。だからこそリーダーは、機械には再現できない人間ならではの資質を活かさなければならない。それは、私たちの思考に影響を与える潜在意識のパターンである。

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潜在意識というオペレーティングシステム

ビジネスの現場では、意思決定は合理的な評価と慎重な計画に導かれ、論理的になされると考えがちだ。しかし神経科学によれば、意思決定は私たちがその進行に気づかない潜在意識のプロセスの最中に形成され始める。意識的な脳が追いつき始めると、意思決定は信号として扁桃体(感情の中枢)前頭前野(理性の中枢)へと実質的に「送られる」。前者は後者よりも速く情報を処理するため、感情的反応は、より熟慮された合理的思考よりわずかに先に意識へ届き得る。

より平易に言えば、扁桃体はリスク、機会、変化をどう解釈するかに強い影響を与え得るのだ。前頭前野が状況の分析を始める頃には、感情的反応がすでに方向性を形づくっている場合がある。とはいえ、すべての意思決定が非合理というわけではない。意思決定の背後にある感情的・神経学的な要因を理解できることが、私たちが持つ最重要の能力の1つになり得る、というだけの話である。

思考を変えた問い

神経科学の力を探り始めた当初の目的は、不安を減らすかたちで自分の心を使いこなしたかったからだ。その後、私は意思決定の仕方とその理由をより深く理解し、プロセスを改善できるかどうかを知りたいと思うようになった。人生で自分が下してきた選択を振り返るうちに、居心地の悪い事実に気づいた。思い込みこそが、しばしば私の成長にとって最大の障壁になっていたのだ。

私はオーストラリアという出身国で広く受け入れられているメンタリティ、「トール・ポピー・シンドローム」とともに育った。要するに、達成しすぎること、つまり伸びすぎることは(仲間や競合、コミュニティによって)刈り取られる原因になる、という考え方である。そこで私は、外部からの否定的な反応から身を守れると信じ、キャリアを快適な水準にとどめることを選んでいた。だがライダーの本を読んだことで、驚くほどシンプルな問いを軸にした旅が始まった。「どうすればできるだろう?」

私は実験をしてみることにした。3カ月間、自分の思考が制限されていると感じる領域で、意図的にこの問いを自分に投げかけた。リスクを取るのに完璧なタイミングなど存在しない、と理解するにはどうすればいいのか。唯一の本当の失敗が、もはや自分に合わない人生を生き続けることだとしたらどうなのか。他人と違って見える人生になるとしても、自分が求めてきた自由を手に入れるために動くとしたらどうか。私のマインドセットは制約から可能性へと変化し、その内的転換は、私自身でさえ驚く決断へとつながった。

私は持ち物の大半を売り、人生をスーツケース3つに詰め込み、夫とともに海外へ移住した。海外に本社を置き、完全にグローバル企業になるためである。外から見れば、信じがたいほど大胆な一手に映ったはずだ。私は職業的成功の頂点にあり、快適な暮らしをしていたのだから。しかし私は、自分の人生の夢は、他人に遅れまいとすること以上のものだったと気づいた。自由と、自分の声が欲しかった。そして思い込みを問い直すことを学んだことで、それが可能になった。

脳は変化できるようにできている

この経験で最も魅了されたのは、その変化が心理的なもの以上だったと理解したことだ。神経学的な変化でもあった。脳には神経可塑性(ニューロプラスティシティ)という驚くべき能力がある。経験、学習、あるいは環境からの要求に応じて、構造と機能を変えられる力だ。これによって人は新しい習慣を身につけ、新しいスキルを学び、練習を通じて行動を修正することができる。

既存の信念に挑み、新たな視点を探るほど、神経回路は適応を始める。仕事でも私生活でも、神経可塑性は好奇心、創造性、共感、自覚を後押しする。また、潜在意識の自動的なパターンを乗り越えることも可能にする。

とはいえ、馴染みのある信念を手放すのは容易ではない。脳は新たなつながりを形成できる一方で、本質的には不確実性を危険と結びつけるようにできている。成長するには、未知に慣れなければならない。ここでは、私が脳に逆らうのではなく、脳と協働するために用いた戦略をいくつか紹介する。

抵抗の背後にある信念を明らかにする。何が変化を危険に見せているのか。多くの場合、それは失敗への不安や、他者を失望させることへの恐れである。そうした思考を認識できれば、それらは力を失い始める。

小さな一歩を踏み出し、それを繰り返す。時間の経過とともに脳は適応し、かつて不快だったものが当たり前になる。例えば私は、意思決定が妥当で長期的な利益があるかどうかを判断するために、メリットとデメリットのリストを書いていた。このプロセスを繰り返すことで、より地に足がつくようになった。

合理的思考を起動する問いを投げかける。例えば「本当のワークライフバランスをつくるにはどうすればいいのか」「自分にとって成功とは何かを理解するにはどうすればいいのか」「仕事の人生で幸せになるにはどうすればいいのか」などである。

未来の成功するリーダー

AIが職場にいっそう深く組み込まれていくにつれ、差別化できるリーダーとは、自分を制限するパターンを上書きする方法を学んだ者になる。自分の心を深く理解することで、適応し、再発明し、可能性からリードするための備えが整う。優れたリーダーシップの未来は、脳をどれだけ再配線できるか、そして想像もしなかった方法で成功を実現できるかにかかっているのかもしれない。

forbes.com 原文

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