経済・社会

2026.04.20 22:04

国際秩序の揺らぎがビジネスを脅かす──いま求められる改革とは

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世界がルールに基づく国際秩序への信頼を失いつつあると思っても、無理はない。各国が相互に関わるあり方を規定する共通のルール、制度、規範は弱体化していると広く見なされ、すでに後退局面に入っていると主張する向きもある。

そうした認識には根拠がないわけではない。ロシアによるウクライナ侵攻と、それに先立つクリミア併合は、主権という中核原則に挑戦した。最近の米国とイスラエルによるイランへの攻撃、変動する関税制度、複数地域における介入や威嚇は、国際規範を立て続けに試してきた。いずれのケースでも、ルールは引き伸ばされ、回避され、あるいは恣意的に適用されている。

その影響は数字に表れている。ウクライナ戦争だけでも数千億ドル規模の経済的損害を引き起こし、世界の食料・エネルギー市場を混乱させ、価格の持続的な不安定化を招いている。イランをめぐる緊張も、原油とLNGの流れにリスクを注入し続け、インフレ、保険コスト、サプライチェーンへ波及的な影響を及ぼしている。市場はリスクを織り込めるが、国際ルール秩序が不確かな状況では、うまく機能しない。

これは地政学や経済だけの問題ではなく、構造的な問題でもある。1945年以降、国連とその関連機関を中核に築かれたこのシステムは、共通のルールを通じて協調を制度化することを狙って設計された。数十年にわたり、それは概ね成功してきた。しかし改革は長年先送りされ、原則と現実の隔たりは広がっている。

時代遅れの制度設計にかかる圧力

その最も分かりやすい例が、国連安全保障理事会である。その設計は2026年ではなく、1945年の力関係を反映している。常任理事国の拒否権は、大国間の合意をつなぎとめる意図で設けられた。だが実際には、当該の大国自身が直接関与する局面も含め、集団的な行動をしばしば妨げてきた。安保理はウクライナ、ガザ、イランに対して一貫した対応を示せずにいる。これは見過ごされてはいない。多くの政府にとって、システムの信頼性は、最も影響力を持つ国々に対しても含め、ルールを一貫して適用できるかどうかに結び付いている。

批判者は、違反が誰の関与かによって異なる扱いを受け、このシステムはいまだ時代遅れの権力配分を反映していると主張する。だからといって共通ルールという発想そのものが自動的に無効になるわけではないが、その適用に対する信頼を損なう。

ビジネスにとっての重要性

政策論争の一部はすでに代替案へと移りつつある。より小規模な「ミニラテラル」な枠組み、地域の貿易ブロック、あるいは国家間のより取引的でディールに基づく取り決めだ。これらは特定分野で前進をもたらしうるが、機能するグローバルなシステムの代替にはならない。断片化は取引コストを押し上げ、サプライチェーンを複雑化し、投資が依拠する予見可能性を低下させる。

企業にとって、これは差し迫った問題である。企業は異なる政治体制の下でも事業を展開し、適応することはできる。しかし、法的確実性、執行可能な契約、比較的安定した貿易条件という最低限の土台に依存している。そうした基盤が弱まれば、コストは上がる。投資は先送りされる。サプライチェーンはより脆弱になる。

このため、ルールに基づく秩序を守る必要性について、より率直に発言し始める企業も出てきた。最近の欧州理事会に先立ち、主要な産業・消費財企業を含む150社超が、政策枠組みにおける安定性、明確性、予見可能性を求める声明を発表した。

同じ論理はエネルギーにも当てはまる。化石燃料市場へのエクスポージャーは、地政学的ショックを繰り返し実体経済へ伝播させてきた。国内のクリーン電力による電化は、そのエクスポージャーを減らす。気候対策であると同時に、レジリエンス戦略としての性格も強まりつつある。だがそれでも、安定した政策、機能する市場、国境を越えた協調に依存する。システムの断片化は、それを容易にするどころか、より難しくする。

置き換えではなく改革を

では、改革とはどのようなものか。

ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は最近、改革はシステムの形式上のルールと、実際に権力が行使されるあり方との間に広がる隔たりに対処しなければならないと主張し、危機の瞬間に制度が周縁化されるリスクがあると警鐘を鳴らした。

選択的に適用されるルールは、もはやルールとして機能しない。このシステムに欠けているのは原則ではなく、一貫した執行である。最も強い国家による違反も含め、違反に対するより明確な帰結がなければ、掲げられた規範と実際の行動の隔たりは拡大し続ける。

進展が常に普遍的であるとは限らず、小規模な連合や地域協定が役割を果たし続けるだろう。しかし、それらは機能するグローバルなシステムの代替にはならない。重なり合う取り決めの上に築かれた断片的アプローチでは、政府と企業が必要とする水準の予見可能性を提供できない。

政治指導者も、この課題の要素を認識している。マーク・カーニーは、予見可能性の経済的価値を強調しつつ、システムが断片化していると警告した。ウルズラ・フォン・デア・ライエンは、国際法の重要性を改めて確認しながら、欧州はより争点の多い環境に適応しなければならないと論じた。アントニオ・グテーレスは、侵食と不処罰のリスクを繰り返し強調してきた。

欠けているのは、スピードと政治的コミットメントである。改革の必要性は一貫して認められているが、優先されることはまれだ。選挙サイクル、競合する危機、地政学的緊張はいずれも、困難な制度変更を先送りする誘因となる。

次期国連事務総長の任命は、期待値をリセットし、改革への機運を高めるための好機となるだろう。しかし、リーダーシップだけでは十分ではない。政府は、自らの行動の自由を制約しうる変更に政治資本を投じる必要がある。だがそれは、相互利益のより大きい国際的枠組みを生み出すことになる。

第二次世界大戦の終結以降、世界経済は14倍に成長し、世界貿易は45倍に拡大し、数億人が中間層に移行した。これらの成果は必然ではなかった。共通のルール、制度、そして一定の協力によって支えられていたのである。

政府と企業にとって、向かうべき方向は明白だ。システムは置き換える必要はない。再び実効性を取り戻す必要がある。

forbes.com 原文

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