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2026.04.23 13:15

なぜ優れた経営者ほど「直感」を信じるのか? リーダーの優柔不断を克服するブレない軸のつくり方

polkadot – stock.adobe.com

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ビジネスリーダーに求められる力のひとつに、「決断力」があります。しかし実際には、自信を持って「決めきれない」「決めた後に迷いが残る」と感じているリーダーも少なくありません。その背景には、「決断力」と「判断力」の混同があります。ふたつは似ているようで、本質的には異なるものです。

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今回ご紹介するのは、製造業の持株会社グループのCEO(50代)とのセッションです。事業会社の社長を長く務め、満を持してグループ全体のトップに就任した彼は、あるもどかしさを抱えていました。

「論理の限界」の先にある、リーダーの聖域

CEO:今日は、経営者として何かを「決めること」について、鈴木さん(著者)とお話したいと思います。グループのトップになり1年が経ちますが、それが以前より難しくなったと感じています。

事業会社で社長をしていたときには、自社の事業について誰より詳しい自負がありました。しかし、グループのトップとして複数の事業を見るようになると、全事業の現場の状況をつぶさに把握することが困難になっただけでなく、複数事業の利害が複雑に絡み合っているため、決めることのハードルが明らかに上がりました。

鈴木:そうは言っても、この1年間、たくさんのことを決めてこられたのではないですか? 

CEO:確かに、多くの決裁をしてきました。しかし、その後でなんだかすっきりしていなかったり、担当役員に「もう少し調べてほしい」と言いながら、実は結論を先延ばしにしたりしていることもあります。

鈴木:それは、当たり前のことではないでしょうか。社長とは、葛藤を抱えながらも、さまざまなことを決めていくものだと感じます。

CEO:それはそうなのですが……もう少し「自信を持って決めたい」と感じるんです。 

「決めることがうまくいっていない」という漠然とした、もどかしい感覚。それは、多くのリーダーが経験するものです。私はまず、その正体を探るために、ひとつの質問を投げかけました。

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鈴木:ご自身が自信を持って決めることが大事ですか? それとも、会社の将来にとって良い決断をすることが大事ですか?

CEO:会社にとって良い決断かどうかは、時間が経たないとわかりません。ですが、少なくとも「これだ」と自信を持って決めたい。自信は周りに伝わり、周りはそれを信じて「やろう」と思うでしょう。そうすると、組織に迷いがなくなっていくはずです。

鈴木:なるほど。ところで、「判断」と「決断」は違う言葉ですが、違いは何だと考えますか?

CEO:判断は頭で考えて行う、頭で決めることでしょうか。一方で、決断は「決め」というか、覚悟がある。覚悟があると、決断になると思います。

CEOの答えは、とても的を射ていると感じました。判断とは、理性的なジャッジです。情報を集め、論理的に積み上げていけば、一定の結論にたどり着ける。経験や情報を読み解くリテラシーがあれば、結論が大きくブレることもありません。

一方で決断は、情報を収集し尽くしてもなお、結論が出ないときに行うものです。論理を構築しようにも、幾通りも可能性があって、シンプルな道筋にならない。選択肢は50-50で並んでいる。そうした場面で、周りは決断を求めてトップの顔を見るのです。

ふたつの違いについて話をしていると、CEOはハッとした表情で言いました。

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文=鈴木義幸

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