食&酒

2026.04.23 10:15

食は思想を映すのか 日本でも確認され始めた「食と政治志向」の関係

AdobeStock(写真はイメージです)

肉食削減への受け止め方

環境や動物福祉の観点から提案される肉食削減については、考え方の違いがよりはっきり表れた。リベラル層は受け入れる傾向がある一方、保守層では抵抗感が見られた。ただし全体としては「どちらともいえない」と答える人が多く、日本ではまだ大きな分断にはなっていないことがわかる。

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反発の理由は「食」ではなく「伝え方」

自由回答の内容を見ると、興味深い傾向が見えてくる。肉食削減に反対する人の多くは「自分で決めたい」「押し付けられたくない」と感じていた。また「~すべき」という言い方への違和感や、発信している人への不信感も見られた。

一方、オーガニック食品については強い反対というよりも現実的なハードルが目立った。「価格が高い、手に入りにくい」といった理由から「良いとは思うが続けにくい」という声が多かった。価値観の対立というよりも、生活の中での使いにくさが課題となっているようだ。

今回の調査では「倫理的な食」が広がりにくい理由についても触れられている。それによると、単に知られていないからではなく、「正しいこと」として強く伝えられることで、かえって反発を招いている可能性があるという。どのように伝えるかによって、受け止め方が大きく変わると指摘されている。

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食を見れば価値観が見える時代に

今回の結果からは、日本でも食の選び方に価値観が表れ始めていることが確認された。ただし「どちらともいえない」と考える人も多く、欧米のようなはっきりした対立には至っていない。

ここからは完全に筆者個人の考察だ。日本で食の分断が強くなりにくい理由のひとつには、日本の食生活も影響しているようにも思う。もともと野菜や魚を取り入れたバランス型で、欧米に比べて加工品や肉食傾向などの偏りが少ない。だからこそ、特定の考え方に基づいて大きく食を変える必要性を感じにくいのではないか。食は思想というより、日々の生活の延長として選ばれている面が強い。

今回の調査では「伝え方が重要」と整理されているが、そもそも何をどこまで広げるべきなのかについては、人によって考え方が分かれる部分でもある。食が価値観と結びつき始めている今、その前提自体も含めておおらかに見ていく必要があるだろう。

引用元:食農倫理研究所調べ

プレスリリース

文=福島はるみ

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