アジア

2026.04.21 07:30

中央アジアを巡るエネルギー争奪戦が激化 早期に好機を捉えた中国が優勢か

カザフスタンで敷設工事中のガスパイプライン(Olga Kostrova/Getty Images)

中央アジアで影響力を失いつつあるロシア

ソ連崩壊以降、ロシアはエネルギー資源の出口を掌握していた。中央アジア産の石油と天然ガスはロシアのパイプラインを通って北へ流れ、同国の港へと運ばれ、ロシア政府が収入と影響力を得ていた。カザフスタンが欧州に石油を輸出しようとすると、ロシアを経由せざるを得なかった。トルクメニスタンが天然ガスを輸出する場合、ロシアの承認が必要だった。

advertisement

だが、この時代は終わりを迎えようとしている。この変化は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに始まり、政治と経済の両面で再編をもたらした。西側の制裁により、ロシアは行き場を失った自国産のエネルギー資源を東方に売り込むために必死になり、中央アジア諸国は予期せぬ立場に立たされた。つまり、国内需要を満たすために安価なロシア産ガスを輸入しつつ、自国の生産物を収益性の高い市場、主に中国へと振り向けることができるようになったのだ。

数字がすべてを物語っている。カザフスタンの石油生産量は2025年に過去最高を記録した。問題は、同国の輸出の約80%が依然としてロシアが支配する「カスピ海パイプラインコンソーシアム(CPC)」を経由して北へ流れ、黒海の港へと運ばれていることだ。2025年後半以降、ウクライナ軍の無人機(ドローン)攻撃によりCPCパイプラインが損傷を受け、3つある沖合積載ターミナルのうち、稼働しているのは1つだけとなっている。ロシアの伝統的な影響力は今や重荷となっており、カザフスタンは代替策を模索している。

一方、トルクメニスタンとカザフスタンから東へと延びる、中国が建設したパイプラインは現在、年間約550億立方メートルの天然ガスを同国へ輸送している。これはかつてロシアのパイプライン「ノルドストリーム」が欧州へ送っていた量に匹敵する。その輸送能力を拡大するため、4本目のパイプラインが建設中だ。

advertisement

なぜ中国はロシアからさらに多くの石油や天然ガスを割引価格で輸入しないのかと、読者は疑問に思うかもしれない。ロシアから中国へのパイプラインは、シベリアから東へ延び、中国北東部に到達する。一方、中央アジアからのパイプラインは西側から中国の新疆ウイグル自治区を経由して入ってくる。これらは中国国内の異なる地域にエネルギーを供給する、まったく別の経路だ。入れ替えることはできない。中国はロシア産ガスと中央アジア産ガスのどちらかを選んでいるわけではない。同国にとってはいずれも必要なのだ。

ホルムズ海峡の混乱により、この問題はさらに差し迫ったものとなっている。米国がイランを攻撃する以前、同国の海上石油輸出の約9割が中国に向けられていた。その供給が突然危機に陥った今、中国にとって最も理にかなった対策は、ペルシャ湾を経由しないエネルギー輸入を強化することだ。これにより、中国の中央アジアへの依存度が高まることになる。しかし、それによって中央アジアにとって有利な形で根本的な力関係が変わるわけではない。

次ページ > 主導権を握っているのは中国

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事