アジア

2026.04.21 07:30

中央アジアを巡るエネルギー争奪戦が激化 早期に好機を捉えた中国が優勢か

カザフスタンで敷設工事中のガスパイプライン(Olga Kostrova/Getty Images)

カザフスタンで敷設工事中のガスパイプライン(Olga Kostrova/Getty Images)

ペルシャ湾に位置するエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡で先月、イランのミサイルが2隻のタンカーを攻撃した際、石油市場は動揺した。トレーダーは同海峡を注視し、アナリストは輸送業者を追跡し、報道機関は危険にさらされている原油の量を伝えた。しかし、誰もが南方に目を向けている間に、数千キロも北東にある、米国人の大半が地図上の位置も知らないような内陸の地で、同様に重大な出来事が起きていた。

カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンの3つの旧ソビエト連邦構成国は世界最大級の未開発の石油・天然ガス埋蔵量を有しており、現在、地政学的な変化がゆっくりと進行している。これらの国々は、静かに、慎重に、そして意図的にロシアとの結び付きを緩めつつある。だが、西へとかじを切っているわけではない。東の中国に傾こうとしているのだ。こうした状況にもかかわらず、米政府はほとんど関心を示していない。

この話の真意はこうだ。米国とイランの紛争は、世界のエネルギー供給網の弱さを浮き彫りにした。そして、混乱に陥った世界にとって、代替エネルギー源となる国々が中央アジアにあることも明らかになった。同地域からのエネルギー供給を確保するための争奪戦は既に始まっている。中国ははるかに先を行っており、米国は取り残されている。

とはいえ、米国が中央アジア産の石油や天然ガスを必要としているわけではない。だが、石油は世界中で取引されている。実際、どこかで供給に支障が生じると、米国の消費者や企業は影響を受けることになる。さらに重要なのは、今後、世界のエネルギー経済の規則を誰が定めるのかという問題だ。中国が中央アジアのエネルギー供給網を確保できれば、イラン、ロシア、そして将来起こり得るあらゆる対立に対する西側諸国の圧力に、はるかに強い姿勢で耐えることができるだろう。

筆者の取材に応じた米シンクタンク「スティムソン・センター」のロバート・マニング上級研究員は、中国が長年にわたり取り組んできた、ペルシャ湾岸諸国のエネルギー資源への依存を回避するための計画の一環として、同国は中央アジアに目を向けていると指摘する。中国はかねてより、ホルムズ海峡の封鎖のような事態を想定してきたのだ。

カザフスタンの石油生産量はクウェートより多い。トルクメニスタンは世界4位の天然ガス埋蔵量を誇っている。ウズベキスタンは急速に増加する人口を抱える主要な産油国だ。これらの国々は、北のロシアと東の中国に挟まれた位置にあり、両国とはパイプラインでつながっている。このパイプラインによって、誰がどのような条件でエネルギー資源を入手できるかが決まる。

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翻訳・編集=安藤清香

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