一部の国では、医療幇助での死を選べる人が終末期の患者にとどまらず、慢性疾患を抱える人や、まれな場合は深刻な精神的苦痛を訴える人にまで広がっている。スペインでは3月、25歳の女性が家族との長期にわたる法廷闘争の末、安楽死を遂げた。彼女は性的暴行の被害者であり、自殺未遂によって下半身不随になっていた。
この事例は、苦しみを和らげることと、解決策として死を認めることとの間のどこに線を引くべきかをめぐって、倫理的な議論を引き起こした。
カナダの患者からは、治療など代わりの処置や支援を提示されるのと合わせて、あるいは場合によってはそれより前に、MAIDについて説明を受けたという報告も上がっている。
ブリティッシュコロンビア州在住の84歳の女性、ミリアム・ランカスターのケースを考えてみよう。彼女は昨年、背中に激しい痛みを訴え、バンクーバーの病院に救急搬送された。本人が先月、ナショナル・ポスト紙に語っているところによると、その際、医師からこう告げられたという。「ミリアム、あなたが強い痛みを感じていることは聞いています。わたしたちはMAIDを提供できますよ」
彼女がこの選択肢をきっぱり拒絶したあとに初めて、医師から別の処置を提案されたという。
6週間後、ミリアムは回復しており、娘の結婚式でバージンロードを一緒に歩けるほどまでになっていた。その後、グアテマラに旅行して、パカヤ火山を馬で登ることもできたということだ。
カナダのような政府運営の医療制度が財政的にひどく圧迫されていることは、周知の事実である。こうした圧力にさらされている医療制度側は一般に、医療を「配給制」(医療資源に限りがあるなかで医療を誰にどこまで提供するかを選別・制限すること。rationing)にしたり、患者に待機を強いたり、あるいは高額医療へのアクセスを拒んだりすることで対応する。バンクーバーにあるシンクタンク、フレーザー研究所によると、カナダでは2025年、患者が一般開業医による紹介後、専門医による治療を受けられるまでに中央値で28週間あまりもかかっている。


