総務省の調査によると、YouTubeの利用率は全年代平均で87.8%に達している。10代から60代まで、ほぼすべての世代で8割を超える利用率だ。テレビ離れが叫ばれて久しいが、YouTubeはもはや「国民的メディア」となりつつある。
こうした状況を企業が見逃すはずはなく、YouTubeマーケティングに乗り出す企業は後を絶たない。だが、意気揚々と始めたチャンネルのほとんどが「閑古鳥が鳴いている」状態ではないだろうか。再生回数は数百回止まり、登録者は伸び悩み、更新も途絶えがちになる。そんな「挫折」を経験した企業は数知れないのではないか。
YouTubeのなかで、ビジネスをテーマとしたチャンネル成功の難易度は特に高いというのが業界の「常識」だろう。ビジネスに興味がある視聴者は、そもそも多くはないからだ。書籍で言えば、マンガとビジネス書の売れ行きの違いは比べるまでもないだろう。
加えてYouTubeで企業イメージを損なうようなエンタテインメント性を追求することも許されない。そして出演者は社長と言っても、有名芸能人でもない、一般には無名のビジネスパーソンにすぎない。
企業がYouTubeで失敗する原因は
そんなハードルを乗り越え、プロデュースしたビジネス系チャンネルを次々とヒットさせている制作会社がある。それがSTAGEON(東京・中央区)だ。
2017年の創業以来、200以上の法人向けYouTubeチャンネルを企画・運営してきた。2026年4月時点で登録者数157万超の「脱・税理士スガワラくん」、52万超の「馬渕磨理子の株式クラブ」、40万超の「鳥海翔の騙されない金融学」といった人気チャンネルを数多く手がけている。
なぜSTAGEONがプロデュースするチャンネルは、難しいビジネス系チャンネルで成功を収めているのだろうか。
「多くの企業がYouTubeで失敗する原因は、テレビの制作手法をそのまま持ち込んでしまうことにあります。テレビのように有名人を起用できないビジネス系チャンネルは、特にYouTubeに特化した手法を磨き上げる必要があります」
こう語るのは、STAGEONの軽米昇平社長だ。では、具体的にどのようなノウハウでチャンネルを成功に導いているのだろうか。

腕に自信のある専門家の多くが、「役立つ情報」を出そうとする。だが、せっかく有益な情報を提供しているのに、ほとんどのチャンネルが伸び悩んでいる。何が問題なのだろうか。
「いい情報を伝えているのに低迷しているチャンネルの多くが、視聴者が抱える『不安』『迷い』『ためらい』といった感情に寄り添えていないことが原因です」
こう語るのは、STAGEONで制作部門を統括している箱﨑蓮副社長だ。
例えば「八木仁平の自己理解チャンネル」の場合、いきなり解決策となる専門的な情報を伝えようとはしない。まずは視聴者が「なんとなく感じているが、言葉にできていない違和感」や「行動を止めている心理的な前提」を整理し、視聴者の悩みに寄り添う姿勢を心がけているという。その結果、登録数は5万人から約14万人へ急成長を遂げた。




