自動化された科学と発見の未来
完全自動化された「箱入り」の科学研究室は、人がいなくても動く製造施設である「ダークファクトリー」という概念を1歩進めたものだ。SDLでは、機械が実験を行う。
この発想は新しいものではない。AIに科学実験を設計させるという議論は、少なくとも1985年までさかのぼる。AIとロボット工学の進歩によって、今やそれが可能になった。
ロボット科学ラボが一夜にしてどこにでも広がると期待すべきではない。導入や運用には多額の費用がかかり、構築そのものもなお複雑な工学上の課題だからだ。だが世界では、研究者や組織が試験運用や試作機の立ち上げを進めており、こうしたラボが日常の一部になることを期待している。
たとえばアルゴンヌ国立研究所には、ロボットが新たな導電性高分子材料の開発に取り組む自動化材料ラボがある。ここでは人間の指示に従うのではなく、「上司」に当たるAIエージェントが実験の進め方を決める。
またシェフィールド大学では、研究者たちが、さまざまな化学反応の結果を分析する自己駆動型ラボを構築した。機械学習アルゴリズムが、その運用を自律的に最適化する仕組みだ。
成果を定量的に測ろうとした事例では、結果は良好だ。ある研究によれば、SDLを継続的に使うことで、結論に達するまでに必要な実験回数を30分の1に減らせるという。
この分野を主導する研究者たちが注目しているのは、SDL技術を効果的に広げられれば、本来なら何年、あるいは何十年もかかる発見が、はるかに早く実現する可能性があるという点だ。


