AI音楽はいかにして人気を急拡大させたのか?
IngaRoseは、Sunoのようなサービスが大きな人気を集める中でチャート上位に食い込んだ、最新のAI生成アーティストだ。ソングライターのテリシャ・"ニッキー"・ジョーンズが生み出したAIアーティストのXania Monetは、昨年BillboardのR&Bシングル売上チャートで首位を獲得し、ラジオのエアプレイチャートに登場した初のAIアクトとなった。
AIが生成したカントリーアクトのBreaking RusもBillboardチャートに登場しており、最大のヒット曲『Livin' on Borrowed Time』はSpotifyで2500万回のストリーミング再生を記録している。業界の一部から反発はあるものの、Sunoは著名プロデューサーのティンバランドとの重要な提携も実現させた。ティンバランドは、このツールを使えば「数分ですばらしい楽曲を世に送り出せる」と語っている。ティンバランドは以前Rolling Stone誌に対し、「神がこのツールを自分に与えてくれました」と述べ、「おそらく3カ月で1000ものビートを作った」と語っていた。
Sunoが昨年11月に完了した資金調達ラウンド後の企業評価額は24億5000万ドル(約3890億円)となる。Sunoはまた、2月時点で有料会員数が200万人に達し、無料版を含めると1億人がこのサービスを利用して音楽を生成したと発表している。
大手レコードレーベル各社からの訴訟に直面しているSuno
Sunoは音楽業界からの反発や、大手レコードレーベル各社からの訴訟に直面してきた。各レーベルは、SunoがAIモデルの学習に著作権で保護された楽曲を無断使用したと主張しており、一部の訴訟はすでに和解が成立している。Universal Music GroupとSony Music EntertainmentはSunoに対する訴訟を継続中だが、ブルームバーグの報道によれば、両社は和解に向けた協議を進めているという。
Music Artist Coalition、European Composer and Songwriter Alliance、Artist Rights Instituteなど複数のアーティスト権利擁護団体は、2月に「Say No To Suno」(スノにノーを)キャンペーンを立ち上げ、Sunoが「世界の文化的成果物を無断でスクレイピング(大量収集)している」と非難した。これらの団体はさらに、Sunoがストリーミングプラットフォームに「AIスロップ(粗製濫造されたAIコンテンツ)」を大量に流し込むことで、ストリーミングサービスがアーティストに配分するロイヤリティプール(使用料の分配原資)を希薄化させていると批判した。
Sunoはこれまで著作権侵害の指摘に対し、自社のAIモデルは「ロック音楽を熱心に聴いて新しいロック曲の書き方を学ぶ子供のようなものだ」と反論してきた。一方、2024年にはビリー・アイリッシュ、ニッキー・ミナージュ、ケイティ・ペリー、スティーヴィー・ワンダーをはじめとする数百人のアーティストが公開書簡に署名し、SunoなどのAI企業に対して著作権で保護された楽曲を使ったAI学習をやめるよう求めた。


