まず注力すべき領域として、ネゴディウクはいくつかの具体例を挙げる。請求書発行や支払い処理の自動化はその代表例であり、「社内の金銭に関わる業務は、全て自動化が可能だ」と彼は指摘する。財務報告の迅速化も重要なテーマとなる。また、カスタマーサービスにおいて、人間の対応をAIで補完することも有効だ。「誰もがサポート業務の変革を望んでいる。将来的には、AIによる情報支援を受けた人間が対応することのメリットは大きい」と彼は語る。さらに、AI音声エージェントを活用した営業アプローチや、顧客に関連するニュースやイベントを自動で通知する仕組みも、高い成果が期待できる領域である。
小さく始め、段階的に拡張する
診断によって優先すべき改善分野を特定した後は、既存のシステムやプロセスを一気に刷新するのではなく、段階的なステップを踏むことが重要だ。ネゴディウクは、まずは実験的にプロジェクトを立ち上げて徐々にスケールさせるべきであり、即座に全面的な変革に踏み切る必要はないと助言する。メール返信の支援やウェブサイト上での顧客対応の自動化、特定のワークフローの省力化、マーケティングコンテンツの生成といった、シンプルなソリューションから着手するのが現実的だ。
「全てをAIでつなげばいい。従業員たちはこれまでと同じ働き方を続けながら、その恩恵を受けられる。重要なのは、いま実験を始めることだ」と彼は語る。
しかし、言うは易く行うは難しである。AIソリューションは、自社の課題解決のために比較的低コストで構築できるが、その実現には適切な人材の存在が不可欠である。今中小企業に求められているのは、解決すべきニーズを特定し、実装を支援してくれる人材を見出すことである。


