過去の「暗号資産の冬」を振り返る
暗号資産にとって冬は今回が初めてではない。最初の冬は2018年だ。詐欺などの不正行為、規制当局の取り締まり、多くのプロジェクトに実用性・有用性がないという認識の広がりにより暗号資産ブームが崩壊。ビットコインは約2万ドルから約3000ドルへ急落し、価値の約85%が消失した。
2回目の冬、より構造的な打撃をもたらした冬は2022年に到来した。暗号資産エコシステム「テラ・ルナ(Terra Luna)」の崩壊が連鎖反応を引き起こし、最終的に世界第2位の暗号資産取引所FTXを破綻させ、創業者サム・バンクマン=フリードの大々的に報じられた逮捕につながった。当時、ビットコインは約1万5500ドル近辺で底を打ち、2021年のピークから約77%下落していた。
暗号資産の冬に共通するパターン
暗号資産の冬に共通するパターンは、業界がその後の数年間を、信頼の再構築と規制の明確化を求めるロビー活動に費やしてきた点にある。現在上院で審議が進むCLARITY法案のような取り組みは、次の冬を防ぐことを期待してのものだ。2026年2月の安値以降、暗号資産市場はイラン攻撃の停戦への期待と規制面での追い風の再来を背景に回復を演じている。しかし投資家は、この冬が本当に終わったのか、それとも解凍が始まっただけなのか、なお確信を持てずにいる。
現在、ビットコインの時価総額は1兆6000億ドル(約252.8兆円)だ。ビットコインは、最大級の暗号資産であり、2位を大きく引き離している。2番手の暗号資産であるイーサリアムは、1トークン当たり約2000ドル近辺で推移している。
規制面の追い風、CLARITY法案をめぐる状況
暗号資産価格上昇のもう1つの理由は、規制環境をめぐる楽観の再燃だ。暗号資産に友好的なトランプ政権のおかげで、ワシントンは長年の混乱を経て業界のルール作りに取り組んできた。ただし、この1年は進展が停滞していた。
現在の中心となっているのがCLARITY法案だ。どの暗号資産が証券取引委員会(SEC)の規制下に置かれ、どれが商品先物取引委員会(CFTC)の管轄に入るのかを明確に線引きしようとするものだ。
同法案に先行するGENIUS法案は2025年7月までに上院と下院を通過し、連邦レベルで初の枠組みを確立した。より包括的なCLARITY法案はこれに続き、2025年7月に下院を通過した後、上院で約1年にわたり足踏みを続けてきた。2026年1月には上院銀行委員会が法案を進める予定だったが、ステーブルコインの利払いを禁じる提案をめぐって主要な業界関係者が支持を撤回し、勢いを失った。銀行側は、暗号資産プラットフォームがステーブルコインに利回りを支払えるようになれば、従来型の貸し手(伝統的な金融機関)に打撃を与えると主張した。法案は1月から3月中旬まで凍結され、上院はマークアップ(逐条審議)公聴会を複数回先送りした。
コインベースの最高政策責任者は4月16日、上院銀行委員会によるマークアップが4月に実施され、5月に本会議採決が行われるとの見通しを示した。アナリストは、4月中に委員会を通過できなければ、上院の日程が中間選挙の政治に飲み込まれるため、2026年に立法が成立する確率は極めて低い水準まで下がると警告する。4月14日には、ホワイトハウスの補佐官が長年続いてきたステーブルコイン利回りをめぐる対立について妥協が成立したと確認した。これは1月以降、法案を阻んできた中核的な争点だった。上院銀行委員会は現在、4月下旬にマークアップの会合を計画している。


