レスリー博士は次のように述べた。「市場には1万種類ものプラスチックがある。マイクロプラスチックに関連する健康への危険性は依然として不透明だが、科学的には十分に考えられるものであることから、全体像が明らかになるまでは予防原則を適用し、暴露を制限するのが賢明だ。科学者らは、マイクロプラスチックを巡る疑問に対する答えを導き出すことに強い意欲を持っている。専門家は、これらの物質の毒性を調査するために昼夜を問わず取り組んでいる。世の中にはさまざまな関心事があるが、慌てる必要はない。自分が納得できることをすれば良いのだ。妊娠中で、子ども部屋のインテリアを考えているなら、ポリマーを主成分としない天然塗料を使おう」
筆者の取材に応じた米環境保護団体オーシャン・コンサーバンシーのブリッタ・ベヒラー博士は、今回の報告書はマイクロプラスチック汚染のまん延を改めて「恐ろしいほど痛感させるもの」だと評価した。ベヒラー博士は同団体の調査により、タンパク質を含む食品サンプルの90%近くからマイクロプラスチックが検出されており、タンパク質食品を摂取しただけで年間最大380万個のマイクロプラスチックを取り込んでいる可能性があると説明した。
ベヒラー博士はこう語る。「暴露の影響についてはまだ解明すべき点が多いものの、マイクロプラスチックには有害な化学物質や細菌が付着しており、ホルモン障害や細胞内のデオキシリボ核酸(DNA)の損傷を引き起こす可能性があることは既に分かっている。とはいえ、良い知らせもある。既に実証済みの解決策が身近にあることだ。例えば、プラスチックの製造や消費を減らすことや、マイクロプラスチックの河川への流出を防ぐための洗濯機用フィルターといった技術だ」
オランダの環境保護団体オーシャン・クリーンアップのローラン・ルブルトンは筆者の取材の中で、マイクロプラスチックは私たちが日常的に使用する製品など至る所に存在し、数十年にわたるプラスチックの分解によっても発生していると説明した。その上で、私たちがマイクロプラスチックにさらされていることは明らかではあるものの、正確な量や健康への影響については分かっていないことが多いと述べた。「ここでは予防原則が適用される。私たちは新たなマイクロプラスチックの発生を抑制し、既に海や川、土壌を汚染している過去の汚染問題に取り組まなければならない」


