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2026.04.17 21:30

RIZAPが「建設業」に本格参入 社員の1割をブルーカラーに転換、狙う店舗開発のOS化

左からRIZAP建設代表取締役社長の幕田 純氏、RIZAPグループ創業者で代表取締役社長の瀬戸 健氏

左からRIZAP建設代表取締役社長の幕田 純氏、RIZAPグループ創業者で代表取締役社長の瀬戸 健氏

4月14日、RIZAPグループが、建設業に本格参入することを発表した。グループの社員約500名を、建設人材へリスキリングする予定だという。1月には、子会社のRIZAPパートナーズの社名を「RIZAP建設」に変更している。

なぜフィットネスジム経営を主幹事業とする同社が、建設業界に進出するのか。背景には、同社がコンビニジム「chocoZAP」の急成長で得たアセットと、日本が直面する深刻な社会課題への挑戦があった。

chocoZAPの急拡大で実現した、3つの「直」

RIZAPは2022年7月、月額2980円(税込3278円)で24時間使い放題のフィットネスジム、chocoZAPのサービスを開始。その後、店舗数を1900店超まで拡大させた。23年1月24日から24年1月23日までの1年間には、直営の1020店舗をオープンさせ、その出店スピードは24時間営業のジムとしてギネス世界記録に認定された。26年3月期、第3四半期には、chocoZAP事業が牽引する形で、連結営業利益を前年同期比で15倍の約77億円に大きく伸ばした。

創業者の瀬戸 健RIZAPグループ代表取締役社長は、「簡単なことではなかった」と振り返る。出店を加速するなか、建設業界の3つの課題、「物価・資材高騰」と「人材不足 」「多重下請け構造」に直面したのだ。同社はそれらを乗り越えるため、出店方法の根本的な見直しを行った。

瀬戸氏は「1年間で1000店舗をつくっていくために、直球(既存の出店方法)で依頼すると『そんなのできない』と断られてしまった」と話す。そうしたなか、専門業者とネットワークを築くうちに、「建設会社によっては特定の時期に手が空いていたりすることや、職人それぞれに得意な領域があること、製造工場によっては(市場で不足している)資材の在庫を抱えていること」を知ったという。

そこで同社では、そうした専門業者や工場の特徴に関する情報を集め、データベースを構築。それを参考にしながら、「直取引」「直雇用」「直発注」、3つの「直」を実現するサプライチェーンを構築した。

例えば「物価・資材高騰」には、商社を通さず、数十社の国内外にある製造工場から直接、原材料や資材を仕入れることで、世界情勢の影響を受けにくい柔軟な調達網を整備。さらに「人材不足」と「多重下請け構造」には、ゼネコンや工務店などの元請けを介さず、工事の作業内容に合わせて、従来は下請けとして現場を担っていた建設会社や職人に直接発注。中間マージンを排除し、出店のスピードや品質の向上を実現した。

今回、同社はそうして獲得した店舗開発のノウハウを外販事業化。物件の選定から搬入・組み立てまで、出店の上流から下流までを一括して請け負う。オフィスや美容室、クリニックなど、幅広い業種の内装工事に対応する。

同社では今回の本格参入前に半年のテスト期間を設けており、出店の費用を従来の25〜30%減、工期を半分に短縮。すでに外部企業の店舗を186件施工し、約30億円の売り上げを獲得した実績がある。瀬戸氏は「RIZAP建設でも『安い、早い、ちょうどいい』の提供価値を実現していきたい」と意気込む。

社員500人を建設人材に、ジムトレーナー育成メソッド生かす

さらにRIZAPは、建設業界の人材不足解決に向け、別のアプローチも行う。瀬戸氏は昨今、建設職人の給与が高騰していることに触れ、RIZAPグループの社員約4600人のうち1割強にあたる500人を、2026年度中に建設人材へとリスキリングする計画を明らかにした。

同グループでは、chocoZAPの無人運営システム確立やAI導入などにより、生産性向上に取り組んできた。直近の1年間では20%の業務効率化を実現しており、そこで捻出したリソースを、高い成長性と収益率を見込めるRIZAP建設に回すという。

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取材・文=大柏真佑実

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