起業家

2026.04.23 18:30

各52万円の自己資金を出し合ったコンビの米ミートスナック企業、1日約200万本を生産のユニコーンに成長

Jammer Gene - stock.adobe.com

最初に立ち上げたのは、牧草飼育で生産された肉を扱うEC事業

マルドナドとアリは、大学時代の共通の友人たちを介して、シカゴで開かれたポーカーをテーマにした誕生日パーティーで引き合わされた。パーソナルトレーナーとして働いていたマルドナドは、グラスフェッド(牧草飼育)で生産された肉を売るスタートアップの構想を温めており、2人はそれぞれ3250ドル(約52万円)を出し合って事業を立ち上げた。

advertisement

最初に立ち上げたのは、オマハ・ステーキのような食肉の宅配サービスに対抗する、牧草飼育で生産された肉を扱うEC事業だった。「Logic Meatlocker」と名付けたこの事業は、「クロスフィット」と呼ばれる高強度のトレーニングを中心としたフィットネスのトレンドを背景としていた。当時は、その熱心な支持者の多くが高たんぱく質の食事へ切り替えていた。

「友達グループの中には必ず1人はクロスフィットに熱中している人がいて、みんなその人にアドバイスを求めていた。インフルエンサーという存在が広まる前の時代だった」と、アリは当時を振り返る。

だが、事業を始めてから6カ月がたっても、売り上げはごくわずかだった。そこでマルドナドは、ミートスティックへと軸足を移すことを思いついた。乾燥肉であれば、冷凍の肉よりも配送コストが安く、必要な資金も大幅に少なくて済むからだ。この転換によって、2人は外部資金に頼らず事業を育てることができ、まもなく黒字化も実現した。「その過程で、手元資金の管理の仕方や、無理のない形で事業を育てる方法、そして適切な価格設定を学んだ」とアリは語る。

advertisement

投資家兄弟の出資を契機に、副業から本業へと転換

その後、ミートスナック業界が注目を浴びたタイミングで、2人の前に現れたのが投資家のカーター・リウムとコートニー・リウム兄弟だった。この2人兄弟は後に、サンタモニカ拠点のベンチャーキャピタル「M13」を共同創業する投資家だ。兄弟は2人と出会う前に、グラスフェッドで生産された肉を使うジャーキーブランド「Krave」に出資しており、2015年にハーシーが同社を2億4000万ドル(約380億円)で買収したことで、大きなリターンを得ていた。

マルドナドは、リウム兄弟に連絡を取り、Chompsを試食してもらったうえで事業内容を説明したいと持ちかけた。そして翌年、兄弟は50万ドル(約8000万円)超を出資した。「我々は、彼らの成長とマーケティングを一段と押し上げる手助けができると考えた。商品にも、当時のチームにも、この市場そのものにも可能性を感じていた。現場に深く関わりたいと思った」と、コートニー・リウムは語る。

創業後の最初の4年間、Chompsはオンライン販売に特化していた。共同創業者2人は、本業を続けており、マルドナドはネープルズで商業用不動産を販売し、アリはシカゴのコンサルティング業界とプライベートエクイティ業界で働いていた。

だが、リウム兄弟が出資する頃には、この副業は本業へと変わった。Chompsが初の小売取引先としてトレーダー・ジョーズとの契約を獲得したためだ。同社は、店頭で扱う数少ないブランド商品の1つとしてChompsを採用した。Chompsの2016年の売上高は、推定400万ドル(約6億4000万円)を超えた。「我々は常に、販路を広げることよりも、既存の販路で着実に売り伸ばすことを重視してきた」とアリは語る。

その後の2年間、Chompsはトレーダー・ジョーズでの販売拡大に集中し、2018年には、アルバートソンズなどの新たな販路を加え、年間売上高を推定2000万ドル(約32億円)に伸ばした。その後は、ウォルマート、マイヤー、ウェグマンズ、ホールフーズにも販路を広げていった。

「その結果、以前よりずっと多くのミートスティックを家庭に届けられるようになった」とアリは振り返る。「当社の製品は、母親だけのものではなく、家族全員のものになった。父親も食べるようになり、子どもも食べるようになった。それでも、既存商品の収益を食い合うことなく販売を広げることができた。我々は常にユニットエコノミクスを重視してきた」と彼は続けた。

次ページ > コロナ禍で年商約159億円に到達、競合失速の中で成長を続ける

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事