米国では近年、健康志向の高まりを背景に、高タンパクで手軽に食べられるミートスナックの人気が拡大している。日本人には馴染みが薄いが、米国では「Slim Jim」や「Jack Link's」に代表される棒状・乾燥肉の携行食品として、コンビニやガソリンスタンドの定番商品となっている。
この市場で急成長を遂げたのが、シカゴ拠点の「Chomps」だ。従来男性色の強かったこのカテゴリーで、顧客の約70%を女性が占めるまでに女性客を取り込んだ。その結果、1日あたり約200万本を売り上げる規模に育った。そして現在、共同創業者兼CEOのラシド・アリ(45)、共同創業者兼会長のピート・マルドナド(44)の2人は、会社売却や新規株式公開といったエグジットを視野に入れ始めているようだ。
需要増に追いつけなかったChompsが、ようやく供給体制を整備
Chompsはここ数年、米国で最も成長の速いミートスナックブランドとなった。その勢いは、同社が需要に追いつけないほどだった。共同創業者兼CEOのラシド・アリは、「限られた供給をやり繰りする状態がずっと続いていた」と語る。
Chompsは現在、束縛を解き放たれたような状態だ。アリによれば、2026年は同社にとって初めて、需要に十分応えられる年になるという。Chompsは現在、1日あたり推定200万本を生産できる体制を整えている。
Chompsは2012年にフロリダ州ネープルズで創業した。フォーブスは、同社の2026年の年間売上高が9億ドル(約1431億円。1ドル=159円換算)を超えると推計している。これは、前年の6億6000万ドル(約1049億円)を大きく上回る水準だ。同社は、米国のミートスナック市場で約10%のシェアを握っている。
Chompsのミートスティックは、出荷前の仕上げまで一貫して牧草で育てた牛肉(grass-finished)、鹿肉、そして抗生物質を使わずに育てた七面鳥を原料としたもので、外出先で手軽にたんぱく質を取りたい消費者のニーズを捉えている。特に、女性からの支持が高く、顧客の約70%を女性が占めている。 Chompsの製品は現在、ウォルマート、ターゲット、コストコ、クローガー、パブリックス、H-E-Bを含む約5万店で販売されている。
フォーブスは、Chompsの企業価値が10億ドル(約1590億円)を上回ると推計している。年間売上高が10億ドル(約1590億円)に達すれば、その評価額は高まる可能性がある。同社株の過半数は、アリと共同創業者ピート・マルドナドが保有している。マルドナドは推定35%の持ち分を保有し、その価値は少なくとも3億5000万ドル(約557億円)にのぼる。アリの持ち分は推定20%で、約2億ドル(約318億円)相当と見られている。
2人によればChompsは創業から30日で黒字化したというが、利益率は高くない。製造を委託するメーカーへの支払いと、牛肉などの主要原材料の価格上昇が収益を圧迫しているためだ。フォーブスは、Chompsの2025年のEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が約5000万ドル(約80億円)、EBITDAマージンが約7%だったと推計している。Chompsは業績についてコメントを控えた。
2025年、共同CEOから会長に就任したマルドナドは、「Chompsがここまでの規模に成長しただけでも信じがたいことだが、それでもまだ本格的な成長余地が残されていることに本当に驚く」と語る。「生産面で必要な供給能力がようやくすべて整ったのは今が初めてだ。ここから先、どこまで伸ばせるのかが見えてくる」と彼は続けた。



