サザビーズやクリスティーズといった大手オークションハウスや、ホワイトキューブのような国際的なギャラリーが拠点を置く香港は、長年にわたってアジア各地のコレクターたちを魅了してきた。だが、その香港がアジアのアートの中心地として確固たる地位を築いたのは、2013年から毎年開かれている地域最大級のアートフェア、「アート・バーゼル香港」のおかげだろう。
高い評価を受けるこのフェアは、2026年は3月27日から3日間にわたって催された。アジア太平洋地域を中心に、41の国・地域から合わせて240軒のギャラリーが参加、会期中にはこのフェアの会場以外でも、香港市内の各地でサテライトイベントが行われるほか、初開催からすでに10年以上となったもうひとつのアートフェア、アート・セントラルも開かれる。アート・バーゼル香港の開幕から約1カ月、香港は毎年、アートにあふれた場所となる。
以下、2026年に特に関心を集めたイベントを紹介する。
「Zero 10」
AI時代を迎え、デジタルアートを巡る議論が爆発的な盛り上がりを見せる中、アート・バーゼルもこの素晴らしい、新たな世界と関わっていくための準備を整えている。
2025年12月に開催された「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」から導入されたプラットフォーム、デジタルアートに特化した「Zero 10」が今回、香港でもデビューを果たした。
中国の通信事業者チャイナ・モバイル(中国移動)の子会社、中国移動香港のプレミアム・メンバーシップ・プログラムを運営するGoTone Privilege Club(ゴートーン・プリヴィレッジ・クラブ)が中心となって運営し、イーリー・シャインマンがキュレーターを務めたZero 10は、デジタルアートの展示と収集の方法を紹介するプラットフォームだ。
初開催となった今回は、ブロックチェーン技術を活用したデジタルアート14作品が披露され、ロバート・アリス(Onkaos)の作品や、DeeKay(AOTM)のデジタルアニメーションなどが特に注目された。
「Encounters(エンカウンターズ)」
アート・バーゼルの会場の大半を占めるのは、世界的なギャラリーが出品する現代アートや、著名アーティストの作品を展示するスペースだ。だが、大型の彫刻やインスタレーションといった作品の展示、およびパフォーマンスアートのためのセクション、「Encounters(エンカウンターズ)」も設けられている。
今回は森美術館の館長、片岡真実が率い、イザベラ・タム、アリア・スワスティカ、徳山拓一らが加わった新たなチームが、キュレーションを担当した。
さらに、今回は会場の香港コンベンション&エキシビションセンター以外でも、中心部にある複合施設、パシフィックプレイスでクリスティン・サン・キムのデジタルアニメーション・インスタレーション「A String of Echo Traps」を会期終了後の4月12日まで展示するなどしている。



