2026.04.17 10:00

IEA、欧州のジェット燃料は「残り6週間」 世界中で航空便の減便相次ぐ

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アジアや欧州の航空各社は、ジェット燃料の配給制や運航便の削減によって石油危機に対処しているが、今のところ米国の航空会社への影響は比較的小さい。だが、エネルギー分野の専門家は、この危機から免れられる国はないと警鐘を鳴らしている。

国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は米AP通信の取材に対し、「欧州のジェット燃料はあと6週間分程度しか残っていない」と述べ、ホルムズ海峡の封鎖が続けば「間もなく」航空便が欠航し始めるだろうと警告した。同事務局長は、米国とイランの和平合意が成立したとしても「戦闘前の状態に戻るまでには2年程度かかる」との見方を示した。

英ロイター通信が先週報じたところによると、燃料供給が逼迫(ひっぱく)していることを受け、アジアの航空会社の多くが運航便数を削減し、目的地での給油を避けるために往復分の燃料を積んで運航する「タンカリング」と呼ばれる手法を採用している。

英調査会社アーガス・メディアによると、航空会社の運営費の約4分の1を占めるジェット燃料は16日時点で1ガロン(約3.8リットル)当たり4.24ドルとなった。6週間前に米国とイスラエルがイランへの空爆を開始して以来、70%上昇している。

ガソリン価格比較サイトを運営する米ガスバディーの石油分析責任者パトリック・デハーンはフォーブスの取材に対し、ジェット燃料は生産量が少ないため、精製燃料の中で最も影響を受けやすいと説明。原油1バレルのうち、ジェット燃料に充てられるのはわずか10%程度だと述べた。

デハーンはこう語る。「米国人は、普段なら考えないようなことを考えなければならなくなった。アジアや欧州に行ったら、帰国できるかどうかを心配する必要があるのだろうか? 長距離便は欠航になるのだろうか? 国際空港に向かう国内の短距離便は欠航するだろうか? これは、旅行者がこれまでほとんど気にしたことのなかったような不安であり、今後さらに増大するだろう」

ビロル事務局長は、ジェット燃料の不足に伴い、価格は世界中で上昇しているが、その経済的打撃の規模は地域によって異なると述べた。同事務局長によると、最初に打撃を受けるのは主にアジア、アフリカ、南米の途上国、つまり貧しい国だが、「この危機から免れられる国はない」という。

中国とタイが自国の需要を満たすためにジェット燃料の輸出を停止した結果、ベトナム、ミャンマー、パキスタンなど輸入に依存している国では供給不足が生じ始めている。デハーンは、アジアでは国内線の運航を制限している国もあれば、外国からの観光客を受け入れるため、長距離便の運航を継続している国もあると説明した。

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翻訳・編集=安藤清香

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