認めよう。全面的に降参だ。わが家はすっかり猫のとりこになってしまった。
昨年の感謝祭の連休の頃に息子の願いを聞き入れ、動物保護施設から子猫を引き取ったのだ。最初は半信半疑だったが、今では家族全員がノヴァと名付けた小さな命を溺愛している。
科学者としては、この驚くべき小さな生きものの習性や傾向を実に興味深く観察している。猫と天気との不思議な結びつきについて論じた昨年末の記事では、民間伝承に始まり、気圧や気象の変化を感知する聴覚や嗅覚の鋭さ、湿気に反応する被毛など、猫が天候に敏感なことを紹介した。
このほど、またしてもノヴァの挙動がきっかけで、先の記事では猫の最も重要な感覚器官のひとつに触れ損ねていたことに思い当たった。それは猫にとってなくてはならない存在であり、おそらく天気を予知するためのツールでもある。──ヒゲだ。
最初に気づいたのは、自他共に認めるほどの「猫ママ」と化した妻だった。ノヴァが小さな金属製の器から水を飲もうとしないという。器が気に入らないのではないかと妻が気にしているので、少し調べてみたところ「ヒゲ疲れ」なる現象があることを知った。
これは、ヒゲが頻繁に物に接触することが過剰な刺激となり、猫がストレスを感じることだと説明されている。インターネット上では広く議論されているが、獣医師の多くは現実に存在する現象なのかどうかに懐疑的だ。いずれにせよ、この一件は筆者が猫のヒゲにどんな役割があるのかを深く考えるきっかけとなった。
動物病院ネットワークのVCA公式サイトによれば、猫のヒゲは「単なる装飾的な特徴ではない。精巧に調整された感覚器官であり、猫の日常活動を支えている」という。また「これらの特殊な触毛は、視覚を補助し、追加的な感覚情報を伝達して、猫が周囲の環境を認識し行動するのを助ける。昆虫の触覚のような存在だ」という。
この解説を読んだとき、ピンとくるものがあった。気象学教授で科学者の筆者は、仕事でドップラーレーダーやさまざまな気象観測機器、衛星を活用して大気の変化を検知している。猫もまた、ヒゲを使って同じことをしているのだ。




