サイエンス

2026.04.20 13:00

猫のヒゲは気象機器? かわいさを引き立てるだけじゃない、生存に不可欠なその役割

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ノヴァが遊ぶ様子を観察していると、家の中を飛び回る小さなテントウムシを見つけるのがとても得意で、いつも驚かされる。彼女はまず昆虫に視線を固定し、動きを追跡する。その際、ヒゲは空気の流れや微細な振動、ちょっとした動きにも敏感に反応する。

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事実、ヒゲの正式名称である触毛の英語表記は「vibrissae」だ。語源はラテン語の「vibro」(振動する)である。気象レーダーはマイクロ波エネルギーのパルスを利用して大気中の雨雲の広がりや強さを検出し、その情報がコンピューターに送られて分析・表示される仕組みとなっている。猫のヒゲは、空気の流れや振動のかすかな変化を察知し、自分の周囲に存在するモノの特性や潜在的な脅威に関する情報へと変換するのである。

猫が持つ他の能力も、前回の記事で取り上げたように気象検知に関連している。だが、ヒゲの先端にある非常に敏感な神経終末は、雷や家を揺らす風、気圧の変化に伴う振動を間違いなく感知している。ヒゲのおかげで、猫は探索や登攀、狩猟検知に優れた能力を発揮できるのだ。猫が数時間先や翌日の気象を予測して動けるのも、ヒゲの賜物である。

猫を飼う前は、ヒゲが猫にとって生存に不可欠な役割を果たしているとは考えたこともなかった。

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自然は驚くべきものだ。こうした発見こそ、筆者が科学者になった理由といっていい。一人っ子だった筆者は、よく自然を観察しては見たものに疑問を抱いていた。

猫のヒゲの技術は、気象学に応用できるだろうか? 

「バイオミミクリー(生物模倣)」という考え方がある。「自然界に見られる形状やプロセスを模倣することだ」とスミソニアン科学教育センター(SSEC)のウェブサイトには記されている。爬虫類の皮膚の色の変化は素材デザインに応用され、一部の鳥類の空力特性は航空機設計の研究対象となっている。

気象観測においても、われわれの友たる猫たちから学べることがきっとあるはずだ。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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