欧州

2026.04.17 07:00

「キルゾーン」に阻まれるロシア軍、ドローン・スウォームは膠着打破の切り札になるのか

stock.adobe.com

真のスウォームには高度な自律性が求められ、とりわけ通信チャンネルが劣化するような激しい戦闘状況ではなおさら必要になる。これはロシアのシステムを含め、現行のほとんどのシステムがまだ不十分な点である。

advertisement

ロシアはこれまで、多数の操縦士を必要とせずともドローンの大規模な調整攻撃を実施できる能力を示してきた。具体的に言えば、ウクライナの軍事インフラや民間インフラに対する攻撃パッケージでは通常、操縦士の関与を最小限に抑えつつ「ゲラニ」などのドローンを数百機投入している。

ただ、これらのドローンは普通、飛行中に動的な調整を行うのではなく、固定目標に向けてあらかじめ設定されたルートを飛行する。各ドローンがリアルタイムで意味のある相互連携をすることもない。こうした点が、ドローンのたんなる大量投入と真のスウォームとの違いである。

ロシアがドローン・スウォームに必要な要素に投資している兆候ははっきり認められる。たとえば、目標指定やナビゲーション(航法)にAI(人工知能)を統合する取り組みや、ネットワーク化されたドローン運用の実験などである。

advertisement

また、ロシアのさまざまなドローンプラットフォームの派生型には、コンピューター・ビジョンをはじめ、ウクライナ側の防空網をかいくぐるための限定的な自律コース修正を可能にするシステムを搭載しているものがあることも報じられている。ロシア軍はこのほか、より小型のドローンを複数搭載し、目標地域に近づいてからそれらを発進させる運搬ドローンのようなコンセプトも模索している。

とはいえ現時点の評価では、ロシアは動的な戦場で有効に機能する完全自律型のスウォーム運用をまだ実現していないとされる。既存のシステムのほとんどは安定した通信に依存しており、自律性も限定的であるため、激しい妨害を受けるような環境下では性能が制約される。それでも、ドローン開発の急速な進展やロシアによる軍民の関連分野への投資を踏まえれば、こうした制約の一部は時間とともに緩和されていく可能性が高い。

次ページ > スウォームが実現しても戦局に決定的な影響を与えそうにはない

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事